第291話 剣聖の葬儀

 親父の葬儀は王国ぐるみの行事として執り行われた。


 〜葬儀場〜


 国中から集まった花束や国民達の前で言葉を捧げるのは母さんの役目である。


 母さんは父さんの棺桶を前にして言葉を発した。


「我が夫フォロスは素晴らしい人でした...、聡明かつ知的であり、賢聖たる私でさえ驚く事があった程です...、今日はそんな夫を送る日...、手を合わせ、喪に付しましょう...」


 俺は目を閉じ手を合わせた。


(親父...)


 今まで俺より早く親父が亡くなるなんて考えた事も無かった。


 ましてや俺が本当に剣聖を受け継ぐ時がくるとは、夢にも思っていなかったのだ。


(おもてぇな...)


 今の俺の双肩には剣聖の名前と国民の意思がかかっている。


 前任者である親父が立派だっただけに、恐らく俺では不安だという派閥も生まれる事だろうが、善処して行くつもりではある。


 何故ならそれが...、俺がこれからできる、親父の生き様だからだ。


(後は任せろ...、親父...)


 〜葬儀後〜


 親父の亡骸は俺達家族に委ねられ、ちゃんとした墓地に埋葬する事となったのだが、俺は親父の骨の一部を貰い受け、それを元に一振りの剣を錬成した。


 それは白く輝く聖剣となり、あらゆる魔を弾く最強の剣にへと昇華したのです。


 俺の中での最強のイメージは親父です。


 それを素材として作った剣が弱いわけがないのである。


「これからも一緒に戦ってくれるよな?、親父...」


 そう静かに呟く...。


 剣を掲げ日に当てるとキラキラと光為、まるで生きているのかようにさえ思えてしまいます。


 見事なまでの輝きを見せる剣を腰の鞘に刺して歩き出す俺の背中には、まるで親父が付いているように感じられました。



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