第259話 ちょっと試し斬りを...

「う〜ん...、やっぱり町の中だと危なくて振り回せないな...」


 私は自分の部屋でそう呟きました。


「どうしたのカリン?」


 頭の上から私に質問してくるアアルにこう返しました。


「それがね、最近私剣術覚えてるじゃん」


「うん」


「でもね...、せっかく覚えた剣技のスキルを披露する場所がないの」


「その辺でやったらいいんじゃない?」


 彼は羽を翻し、家の外にある庭を指さしましたが、私は首を横に振りました。


「いや...実は言いにくいんだけど...、スキル名読んでたら結構大技見たいなんだよね」


「大技...ねぇ...、でも僕との連携魔法も結構な威力出てると思うんだけど、それとは比べものにならないの?」


「うん...、ちょっと町中で使うのは怖いかな...、学校でも不安感あるし...」


「そんなに凄い技ならお母さんかローシュに頼んで外に行けばいいじゃない」


 ごもっともな意見を貰ったので、採用する事にしました。


 〜兄の部屋〜


「お兄ちゃん、ちょっといい?」


「なんだカリン」


 自分の部屋で一人黄昏ていたお兄ちゃんに言葉をかけます。


「実は...、お兄ちゃんにお願いがあるの」


「お願い?、なんだ改まって...」


「ちょっと町の外に出たいな〜...なんて...」


 私がそう呟くと、兄は首を横に振りました。


「悪いなカリン...、今町の外に出るのは危険なんだ」


「どうして?」


「実はな、最近町の外のモンスターが凶暴化していて騎士団や冒険者も手を焼いているんだ、勿論弱いモンスターもいるんだが...、いかんせん危なくて外に出すわけには行かないな」


 笑いながらそう呟く兄貴を見ているとムッとしてしまいますが、無茶は言えません。


「無理言ってごめんね、お兄ちゃん」


「ああ、悪いなカリン」


 私は兄の部屋を後にしました。


(う〜ん...、どうしても自分の技量を試してみたいな...、そうだ!)


 私はある事を思いつき、家の外に出て行きました。






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