第228話 嬉しい贈り物

 私が一階に下りると、母さんニコニコとした表情で私の事を見てきました。

 何だろう?と思っていると...。


「はいっカリンちゃん!、お年玉」


 そう言って渡される見慣れた包み紙。

 それを受けとった時に私はこう思いました。


(...、異世界にもお年玉あるんかい!!)


 いや...、嬉しいですよ!嬉しいですけど...、これじゃない感はありますね。

 なんだろう...、やっぱ日本っぽいとこあるよねこの世界...。

 せっかくファンタジー世界に来たのですから、もっともっと普通じゃない感じのを、私は期待しているのです。

 でも貰っておいてお礼を言わないのはどうかと思うので、ちゃんとお礼は言いました。


「ありがとうお母さん!、大切に使うね!」


 ニコニコ笑顔で心の底から嬉しそうにします。


「俺からもな!」


 兄さんもすかさずお年玉を渡してくれました。


「お兄ちゃんありがとう!」


(中身はどのくらい入ってるんだろうか?)


 やっぱり気になりますよね〜。

 子供たる者、年内のお小遣いには気を配る物です。

 無駄使いは避け、本当に欲しいもの(魔導書)を買わなくては!と思う私。

 ぐ〜...。


「あっ///」


 こんな音がでて思わずお腹を抑えました。


「ふふっ、カリンちゃんお腹空いたのね、大丈夫もう作ってあるわ」


 ふふっと笑いながら彼女はテーブルの方へと歩いて行きました。


「行こうぜカリン!、俺も腹へっちまってさ〜」


 お気楽そうな声をあげながら席に着くお兄ちゃん。

 こうしてみると兄はもう完全復活したようですね!。

 一時期雰囲気が怪しくなっていた時があるのでちょっとだけ心配していましたが、大丈夫なようで安心する私。


「待ってよ〜」


 そう笑いながら席に座ります。


「今日の朝ごはんは〜?」


 アアルの奴が頭の上からそう母さんに言いました。


「ふふっ、アアルちゃんの好きなソーセージもちゃんとあるわよ」


「やった!、ありがとう!」


 頭の上で飛び跳ねる聖鳥。

 ソーセージを一口かじると、意気揚々に嬉しそうな声をあげる彼。


「美味しい〜!!」


 ...、やっぱり思うのですが、彼は本当に『聖鳥』なのでしょうか?。

 私から言わせれば普通の精霊となんら変わらないと思うのです。

 じ〜っと彼を見つめる私でしたが、あんまり見つめるのも失礼かなと思い食事に集中することにしました。

 一口パンを食べると、絶妙な甘さのバランスが程よく美味しいと感じて声をあげてしまいます。


「うん!美味しい!」


「カリンちゃん、ありがとう」


 ふふっと笑う彼女を見ていると、こちらまで嬉しくなってしまい、幸福な気分に心を躍らせるのでした。

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