第199話 いっせの〜...でっ!
「わぁ〜!」
私は思わず声をあげました。
人生二度目の空中散歩はやっぱり興奮してしまいます。
家の周りを飛んでいる天馬達がこのお家を持ち上げているので、下から見たら20匹の馬さんが頑張っている姿が見えるのでしょう。
そう思うと地上からこの家を見上げて見たいとさえ思ってしまいました。
私が兵士さんと天馬達に手を振っていると、背後からパニラちゃんが声をかけてきたので振り返ります。
「カリンちゃん!、何して遊ぼうか」
もう少し景色を眺めていたいのですが、彼女は普段から王城の上の方に住んでいるらしいので、こういう景色は見飽きているのでしょう。
名残惜しいですがまだ景色を楽しむチャンスはあると思い、今は頭を切り替えることにしました。
(遊ぶって言ってもここ空中だし駆けっこだとかは危ないよね...、だったらこれかな)
私は両手をグーにして前に出しました。
不思議そうな表情で私の手を見て来る彼女に説明します。
「これはね、いっせの〜での掛け声で親指の数を当てるゲームなんだ、例えば私が1と言ってお互いに上げた親指の数が1だったら片腕を下ろす、それをお互いに繰り返して先に両手がなくなった方の勝ちだよ」
「面白そうだね!、やってみよう!」
そう言って早速両手を合わせる彼女。
まずは私からスタートします。
「いっせの〜で...0!」
速攻で言った為か彼女は親指を立てる暇さえなかったようです。
「はい、片方おちたよ」
私がそう言うと彼女は少し不機嫌そうな顔でこう叫んできました。
「カリンちゃんずっる〜い!!」
「ずるくないよ、これはれっきとした戦法だし」
「わかったわ!だったら私も...、いっせの〜で...0!」
私は親指を立ててそれを回避しました。
「あっ!?」
「ふっふっふっ...甘い甘い...、いっせの〜で...2!」
さっと彼女の両手の指が上がった為、私の勝利に終わりました。
「えっ!?」
驚きのあまり目玉が飛び出して来そうな表情をする彼女はとても面白いと思います。
「はいっ、私の勝ち!」
王族相手の容赦なく勝ちを取る私は間違っているのかもしれませんが、パニラとはあくまで普通の友達としていたい為、敢えて手加減はしないつもりでした。
ふふんと強気な笑みを私が浮かべた瞬間、彼女は私に指を突きつけて挑戦状を送りつけてきました。
「もう一回!!」
勿論受けてたちます。
「いいよ、何回でも相手してあげる!」
私達は再び両手を出し合い、果てしなき戦いを繰り広げるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます