なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが！！

第177話 あれっ...？

　夕暮れ時、それは夜が近づく時間帯。

　町の全てが赤く染まり今日はもう終わりだと言う事を告げるのだが、ギルド内にいる人たちの熱狂が止まる事はない。

　大声で話題を出して笑い合う冒険者、そのテーブルに料理を運ぶギルド内の従業員、そして今から始まるショーの最終チェックをしている人達。

　まるでこの中はまだ真昼間とでも言うかのように明るかった。

　今からこの人たちの目の前で歌うのかと思うと緊張してしまう。

(落ち着け私...、練習と同じようにすれば問題はないはず...！)

　大きく深呼吸をしていると不意に声をかけられた。

「カリンちゃん！！見に来たよ！！」

　いきなり声をかけられたので、びっくりして飛び上がった。

　声のする方向に振り向くと、見覚えのある顔がいくつも見られた。

「皆...！、見にきてくれたんだね！」

　嬉しくなった私は声をだした。

「当然だ、カリンが出ると言うのであれば俺は見に来るぞ」

　とトウマ君。

「カリンちゃんの衣装すごく素敵だね！！」

　とリタ。

「今日のショー上手くいく事をここから応援しています」

　とフレイ君。

「エルシーさんと踊るんだよね！？、楽しみ〜」

　最後にヤヨイちゃん。

　クラスの皆が見にきてくれた事に感謝しながらお礼を言う。

「ありがとう！！皆！！、今日は精一杯全力で歌うから楽しんで言ってね」

　皆なの方を向いてしっかりと笑顔を振りまく。

　とにかくこういう場で必要なのは笑顔であると、エルシーさんに教えられている。

「うん！楽しみにしてるね！」

　ヤヨイにそう言われた時にやる気が出てきた。

　やっぱこういう風に応援されると嫌でもやる気が出るのは前世から変わらない私の特徴だと思う。

　私は自分の顔を叩いて気合を奮い立たせました。

　気合は充分！！、後はショーの始まる時間まで待機しておくだけです！。

　そのはずなのですが、一つだけ気がかりな事がありました。

(お兄ちゃん...まだ来てない...)

　そう...、あれほど楽しみにしていたはずのお兄ちゃんがまだ会場にやってきていないのです。

　そのことに気がついた時は妙な感じがしたのですが、まだ始まるまでに30分程あると思い意識を変えます。

　大丈夫...、お兄ちゃんのことだからどこからか見てるのかもしれないし、もしかしたらショーが終わった直後にドッキリでもやる気なのかもしれない...、と無理矢理思い込む事にしました。