　いい匂いが私の秘孔をついてきたので飛び起きました。

　目を見開いて一気に駆け下ります。

「母さん！！、ハンバーグできたの！？」

「カリンちゃん！、ちょっと待っててね！、もう少しで焼きあがるから！！」

　母さんの言った通り30秒ほどで焼きあがったハンバーグが皿の上に盛りつけられました。

「おお〜！！♡」

　私は子供のように目を輝かせて出来上がったばかりのそれに手をつけました。

「召し上がれ！」

　母さんの掛け声とともに食事を始める私。

「いっただきま〜す！！」

　ナイフを押し当てると肉汁が溢れてきたので思わず唾液を飲んだ。

　肉の焼ける匂いに包まれながらしあわせな気分になってしまいます。

　それを口に含んだ瞬間、体全身が喜びに打ちふるえました。

「ん〜〜〜！！！♡」

　足をジタバタしながら肉の快感に酔いしれます。

「美味しい！！」

　私の喜ぶ姿を見た母さんは微笑みながら追加のハンバーグを私のお皿に入れてくれました。

「いいの！？」

　思わず声を上げて母さんの表情を見てみると、そこには見慣れた笑顔がありました。

「いいのよ！、カリンちゃんは育ち盛りなんだからいっぱい食べないとね！、それにローシュの分が余っちゃったからね」

「兄さんの？」

　疑問に思った私は母さんの方を向きます。

　母さんは料理の手を止めて私の方に振り向きながら困ったような表情で呟いてきました。

「そうなのよ、あの子ったら晩御飯は要らないってどこかに出かけているの、あれはきっと恋の悩みね！！母さんにはわかるわ！」

　自信たっぷりに腕を振り上げたのを見て私は笑った。

　間違いなく母さんの名推理(？)は当たっていると私も思うからである。

(きっと兄さんはメルラさんに恋の話を持ちかけられたのだろう、だから今日はその事で悩んでいるんだろうな...)

　私自身そう思っている。

　ハンバーグを頬張りながら兄さんの恋路が上手く行くように願う私であった。

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