第165話 何しよっか?
「カリンは何して遊びたい?」
不意にそんなことを言われても、お金もないのであまり思いつかないのでした。
しかも綿飴も一口貰っているので、エリサに頼る訳にもいきません。
「そうだね...、う〜ん...」
お金を使わず遊ぶ方法をよ〜く考えます。
私はお店を見ていますが、そりゃあ無料で遊ばせてくれる屋台なんてないよね。
「あの屋台面白そう!!」
彼女が指差した屋台は、この前一等賞を落としたばかりの射的屋でした。
「いや...、あの店はやめておこう...」
「なんで?面白そうじゃん!」
有無を言わさず彼女はそこに向かっていきました。
〜射的屋〜
「いらっ...」
店主のおじさんが私の顔を見て固まりました。
「どうも...」
俯く私と対象的な彼女を見てなんとなく察したのでしょう。
明らかに初対面風を装う彼の姿がそこにはありました。
「嬢ちゃんたち...、射的やって行くのかい?」
「私がやる〜」
そう言って彼女は500ゴールド支払い、玩具の銃と銃弾を6発受け取りました。
(この店って完全にインチキしてるんだよね...、まあエリサには悪いけど、私は手助けしないよ)
彼女には悪いのだが、流石に初対面の人の為に力を貸すほど私もお人好しではない。
某ラノベで有名な黒い双剣士でもあるまいし、私が彼女に手を貸す理由などないのだ。
「じゃあ狙うよ〜...」
彼女は張り切って狙いを定めているが、正直言って全く意味はない。
結局のところ店側が土の魔法で地盤を固めている為、景品が取れるはずないのだ。
私は結果が分かっていると面白くないと思い、あくび混じりに見守る。
パンっという乾いた音と共に銃弾が発射された。
?。
(何あれ...)
雷のような線が目の前を走り抜け、景品を弾き飛ばした。
それも一個だけではない。
無数の景品が一斉に吹き飛んだのだ。
何が起きたのかあまりよくわかっていないが、電気系統の魔力を感じ取った為、おそらく彼女の魔法だろう。
にしてもこれはやりすぎだ、さっきから店の店主が私を睨んでいるのがよ〜くわかる。
(いや、...、これは私悪くないから!、エリサが加減知らないせいだから!)
そう、私を睨んでもしょうがないのは事実。
結果的に景品がたったの一発で結構な数が落ちている。
それだけの量獲得した彼女は笑みを浮かべてこう言った。
「店主さ〜ん!、だいたいとっちゃったんで追加お願いしま〜す!!後5発残ってるんで〜」
もうやめとけと言いたいが、店主は半ギレの表情で商品を置いて行く。
「どうぞ!!」
ここまで凄く気合の入った「どうぞ」という言葉を聞いたことがない。
喧嘩腰に彼女を見つめる彼と、舌なめずりをする彼女の真剣勝負が今始まる!。
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