第163話 3日目

 今日は兄さんと一緒に回れなくなったので暇になってしまいました。

 一応明日の為に休養に当てるつもりだったのですが、せっかくの祭りなので町に出ることにしました。

 最初の1日目でお金を結構使ってしまったので、もうあんまり使いたくありませんが、ただ見て回るだけでも楽しいのであまり問題はありません。


(異世界の祭りは新鮮でやっぱりいいな)


 あっちでの祭りに比べると、初めて見るものも多いので、長く楽しめてしまいます。

 あの屋台どうなってるんだろう?とか、あんな食べ物見た事もない!などの新発見が私の知的好奇心をくすぐってくるのでした。

 そう思っている内に、ふと妹の事を思い出す私。


(もしもあの子がここにいたらどんな考え方するんだろう...、きっと私なんかよりすごい事を考えるんだろうな...)


 ただ不思議な物をみて面白いとだけ感じる私と違い、彼女であれば色々な発想が生まれるだろう。

 私は1の事を聞いても1の事しかわからないが、妹は1の事を聞いて10の事を知ることができた。

 異世界に来てもその劣等感は消えていない。

 むしろ新しい知識が増えるたびに彼女ならどう考えるんだとろうかと考える為、さらに意識してしまっている節が見られるのが本当に気持ち悪いのだった。

 なんで異世界に来てまで妹の事を思い出すのか不思議ですが、やはりそれだけ彼女の存在が私の人生にとってマイナスに働いていた事は間違いない事実であり、それを疎ましく思っていた自分に吐き気がします。

 自分の実力不足を他人のせいにしながら生きるのは、とても息苦しい。


(ハハッ...、きっと神様も私なんかが元の世界にいても役に立たないからこっちに送ったんだろうな...)


 私が卑屈になって町を歩いていると、何かにぶつかりました。

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