第152話 皆ベロベロなのよ!!

 私はグラスに注がれたワインをゆっくりと飲み干していました。

 相変わらずうるさいレインの声を聴かされながらも、お城の極上ワインを嗜ませてもらえるのであれば少しは我慢ができます。


(早く帰りたかったけど...、やっぱりお城で出されるワインは悪くないわね...)


 血にも似た真っ赤なワインを飲み続けた私は、いつのまにか酔いが回っていることに気がつきませんでした。


「レ〜イン〜...、あなたいつのまに分裂の魔法なんて覚えたのよ〜...」


 私は悪酔いしながら彼にそう告げると、彼はそれに対して反発してきます。


「抜かせチビスケ...、お前の方こそ5人に分裂してるじゃね〜か!!」


 私達は互いを指差しながら笑いあっています。


「アッハッハッ!!」


 それを見た妹が少し心配したような眼差しで私の方を見てきました。


「姉さん、少し飲みすぎでは?」


「何よエルカ!!、私のワインが飲めないって言うの!?」


「いや、そう言う訳じゃなくて...」


「ああ〜!!もうっ!!いいからあんたも飲みなさい!!、ワインもう一丁!!」


 笑い声をあげながら、私はワインの注文をしたのですが、妹に取り消されてしまいました。


「姉さんお酒は程々にしておかないと...、今の姉さんは酒に飲まれているわよ、本当はアルコールの強くないんだから無理したら二日酔になっちゃうわ」


「だいじょ〜ぶ!だいじょ〜ぶ!!、ワインなんて水みたいな物よ!現に私はとっても元気!!」


「どう見ても酔っ払った幼子にしか見えないし、これ以上はちょっと絵柄的にまずいから帰りましょう」


 いつの間にか妹の方から帰る事を提案されていたのだが、こんなに楽しい夜を早く終わらせたくないのだった。


「もう一杯だけ、もう一杯だけだから!!」


 空になったワインのボトルを握ったまま引きずられていく私。


「はいはい、帰ったらおねんねしましょうね〜」


「やだ〜〜〜」


 まるで駄々っ子のように手足をバタバタさせていた私でしたが、いつの間にかスヤスヤと寝息を立てていました。


「姉さん...、可愛い!!まるで子供みたい!!」


 そう言いながらエルカはプラムの頰に頬ずりを始めます。

 彼女も相当な量の酒を飲んでいるのでまともな思考はしていない。


(騒がしい連中だな...、まっ、これが私と共に戦った聖人達の真の姿なんだろう、私だけだなまともなのは...)


 剣聖フォロスだけは優雅に酒を楽しみながらカッコつけるように椅子に座っているのだが、彼もレインの奴に酒を大量に飲まされているのでかなり酔っている。

 実際の所、王を含めこの場にいる全員が酔いつぶれていた。

 そう酒の飲めないパニラを除いて。


(これが聖人様達か...、こうしてみるとやっぱり普通の人たちの見えますね)


 姫パニラは聖人達の酔い潰れた姿を見て、少しだけ笑顔を浮かべていた。

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