第146話 ようやく終わりそう...
あれこれ回っているうちに日がだんだんと暮れ始め、いつのまにか夕方になっていました。
寂しくなった財布の中身を見て涙が出てきそうになる私と、満足したような笑みを浮かべ綿菓子を頬張るパニラ。
それを見た私は内心で溜息を吐きました。
(はぁ...)
本を買うためにとっておこうと思っておいたお金を大体使い切ってしまったからです。
ですが、彼女の喜んでいる表情を見ると、これはこれで良かったと思えたので、まあよしとする事にしました。
「パニラ、お祭りどうだった?」
私が気になって聞いて見ると、彼女は笑顔でこう答えてくれました。
「最高!!、カリンちゃんもいるからとっても楽しいよ!!」
満面の笑みで綿菓子を食べ続ける彼女を見て、私はなんとなく笑っていました。
「あっ!カリンちゃん今日初めていい顔した!」
「そう?、私結構笑ってたと思うけど...」
「さっきまでのはなんか笑おうとして笑ってたみたいで好きじゃない...、今のは心から笑ってたでしょ?」
彼女に心を見抜かれたのでちょっぴりドキッとした。
(こやつ...、もしかして読心術で持っているんじゃないか?)
少しその線を警戒した私は、ちょっと距離を置きました。
まあ、これだけ色々な魔法が存在する世界ですし、読心術くらいあっても不思議ではありません。
「パニラって読心術でも使えるの?」
気になったので聞いてみますが、彼女は笑ってこう返してきました。
「いやいや、その顔見てたら誰だって分かると思うよ」
「嘘、そんなに顔に出てた!?」
「ほらやっぱり、本心で笑ってなかったんだ、なんとなくわかるよそういうの」
カマをかけられ、まんまとそれに引っかかる私。
「...、ごめん...」
「謝る必要なんてないよ、私今日はすっごく楽しかったんだから、カリンちゃんと一緒に色んな店回れて心の底から楽しいと感じたんだ〜」
そう言われると少し照れてしまう。
「そ...そう?」
「そうそう、だから今日はありがとう、カリンちゃん!」
彼女が手を差し伸べてきたので、私はそれを快く受け取り手を握る。
「こちらこそ!、楽しかったよパニラちゃん!」
私は笑顔で差し出された手を握りしめた。
その時の彼女の表情はなんとも言い難い良い表情をしていました。
(お兄ちゃんごめん、本当は今日お兄ちゃんと回る予定だったのに約束破っちゃって...、明日くらいに穴埋めはするね)
そう考えながら心の中で兄に誤る。
そうしていると、ふと気がついた事がある。
「あれ?、この広場さっきまで人が沢山いたはずなのにいなくなってる?」
「えっ?」
パニラも異変に気がついたのか広場の方を見ると、やはり人っ子ひとりいない。
なんだか嫌な視線を感じた私は、彼女の手を握ってその場から離れるように駆け出しました。
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