第139話 えっ...!
何事かとかと思いながら握られた手の方を見てみると、お化けのような白いコートを着込んだ私と同い年くらいの子に手を握られていたのでした。
「えっと...、誰?」
私は困惑した様な表情でその子を見つ目ていると「こっちにきて...」と呟かれたのでついていく。
町の裏路地に周り、人通りが少ない場所に入っていきます。
ちょっと君が悪くなった私は彼女の手を振りほどきました。
「ちょっと!、どこまで連れていく気!?」
私は怒った様な表情でその子を威圧します。
すると、お化けのフードを取り素顔を見せてくれました。
その顔を見たとき、私は驚いてしまいました。
「えっ...、パニラ!?何でこんな所にいるのよ!!」
「し〜...、衛兵の目を盗んで逃げてきたの...、さっきローシュさんの周りに衛兵の人たちが来てたでしょ、あれは私を探してるの」
彼女は人差し指を顔の前において私にそう告げる。
「じゃあダメじゃん!早く戻らないと!」
私は彼女に早くお城に戻るよう説得を試みたのだが、彼女は全て突っぱねてこう言ってきました。
「カリンちゃん、お願い!一日だけでいいから私とお祭りを回って欲しいの!」
「いやいや、お城の皆が困ってるんでしょ?私と一緒に回るなんて言ってないで早くお城に戻らないと!」
私が正論を突きつけていると、彼女の顔がだんだんと暗くなっていくのがわかります。
俯いたまま何も言わなくなった彼女を見ていると、だんだん私まで暗い気分になってくるのを感じてしまいます。
なんとなく自分が悪者になっていくような気がして後味が悪くなってしまい、しょうがなく彼女の提案を受けることにしたのでした。
「何か訳ありなんだね?、わかった...だけど今日の夕方までだからね!」
「カリンちゃんありがとう!」
私が了承した時の彼女の笑みを、私は恐らく忘れることはないでしょう。
子供が始めて誕生日プレゼントでも貰ったかのような表情は、とても明るく、光が溢れているようでした。
「とりあえず向こう側から回ろ、あっちに行くとにーにがいるから直ぐに捕まっちゃうし、こうなった以上にーにも敵だと思わないとね」
私の言葉を聞いた彼女が急に笑い出したので、何がおかしいのか聞いてみると、私が兄さんの事をにーにと言うのが可笑しいと言われたので恥ずかしくなってしまいました。
実際に私も一度言って見たくて言っていただけなのに、いつのまにか自然ににーにという様になっていたことに今更気がつきました。
これからは兄ちゃんと呼ぼう...。
そう胸に誓い、私とお姫様はお祭りの方へと足を踏み出したのでした。
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