第103話 娘の柔らか頬っぺ

「皆寝てますね...」


「そうねアルエッタ、皆を起こさないように慎重にね...」


 私とアルエッタは子供部屋に侵入してカリンちゃんの寝床まで迫って行きました。

 子供達はもうすっかりおねむの時間だったので、すんなり入室できたのは幸運だったのですが、それは私の消音の魔法の効果も関係あると思いますが口には出しません。

 何故なら、その事を伝えていないシスターの動きが面白いからである。

 音を極力出さないように動く様がとても可愛いので永遠に見ていられるのは私だけだろうか?。

 どれだけ素早く動いても音が出ることはないのが笑えますが、ここは雰囲気を楽しむためにゆっくりと標的に近づきます。


「そろそろカリンちゃんが寝ているところに着くわ...、ここから先は気をつけてね、カリンちゃんは見た目に似合わず結構鋭いから...」


「はい...静かに近づきます...」


 小声で私にそう言いながら進む彼女を内心で笑う。

 どれだけ大きい声で騒ごうと、私の半径3メートル内は音がしないように設定してある。

 なお、何故彼女の声が私に聞こえるのかを突っ込むのはやめて頂きたい。

 そこは御都合主義というやつであるからだ。

 そしてついに目当ての場所にたどり着いた。

 スヤスヤと眠り続けるカリンちゃんを見た私と彼女は息を飲んで手を頬っぺたに近づける。

 ムニっ...。

 柔らかく張りのある肌のもみ返しが気持ちよくて思わず何度も揉みたくなる。


「柔らかい...」


 彼女の顔が綻んだ笑顔になったので、思わず私も微笑み返す。


「そうね...、カリンちゃんの頬っぺたはすごく柔らかいわね...」


「はい...、こっちも何だか幸せになってしまいますね...」


 ちょっと嫌そうな顔をしているがやめられる訳もなくつい続けてしまう。

 こんな気持ちいい事を止めろと言われてやめられる人間などいないだろう。


(ふぁぁぁ...幸せ...)


 そんな事を思っていると娘がぱちっと目を覚ました。


「うん?...母さんにシスター?、何してるの?」


「カリン様これは...」


 あたふたする彼女を見るのは面白いが、ここは私に任せてほしい。


「実はね、アルエッタさんがあなたの頬っぺを触りたいと言ってきたの...、だから触らせてあげて頂戴ね」


「え...エルカ様!?」


 私は可愛く舌をペロッと出して笑う。

 娘は何が起きているのかまだ理解できていないようで混乱していたが、数秒考えると気がついたようで顔を真っ赤にした。


「シスターが...私の頬っぺを!?」


「そう、あなたの頬っぺたを触ってたのよ」


 カリンちゃんは自分の頰を触りながら錯乱している姿がとても愛らしい。

 まだ小学1年生なのに頰を触られたくらいで困惑する姿が尊く感じる。

 私は笑って済ませようとしたが、他2人はそうもいかないような表情で互いの顔を見れないでいた。

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