第42話 兄貴と父さん

 騎士達を引き連れた男達の中には、2人だけ、黒いタキシード服を着た者がいた。

 他の者は綺麗な鎧を着込んでいるのにも関わらず、何故か先頭の2人だけタキシードだったのだ。

 私は誰なのかわからなかったが、母さんの反応見て察した。


「あなた!、それにローシュ!」


 母さんは2人に近づくと、一気に抱きついて感動したように涙を流す。


「母さん!その派手な服装はやめてくれ...、いくら外見年齢が大丈夫だからってその派手さは息子殺しだぞ!」


 ローシュと呼ばれた青年は少し顔を赤らめながら母さんにそう言う。

 だが、もう1人の男はそこまで取り乱した様な雰囲気もなく、王の下に近づいていく。


「王よ、クティル騎士団団長フォロス、勤めを果たしただ今帰還いたしました!」


 茶髪の男はフォロスと名乗り、王の前で敬礼している。

 彼が敬礼すると、彼の後についていた団員達も一斉に綺麗な形の敬礼をしていた。

 随分と息のあった敬礼を全員がしているので、わざわざこの日のために何度も練習したのだろうか?、そう思うと少し可愛く思い笑った。

 王はその姿を見下ろしてから手を叩く。


「流石はフォロス殿!、あの魔女を仕留めた者の1人ですな!、まさかこんなに早く魔海の魔物供を一掃してきてくれるとは...」


 王は笑みを浮かべながら彼を出迎える。

 王が手を差し伸べると、それに応じて手を握る。

 会場内は拍手が飛び交い、一気に歓声の声が上がる中、私は頭を回していた。

 魔海...?、また新しい単語が出てきたので流石に頭の中がこんがらがる。

 今日だけで専門用語が大量に耳を流れていったので、これは覚えきれない...。

 だが、話はどんどん続いていくのだった...。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る