なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが!!

カイト

第1話 嫌気...

 私は餅月林華もちづきりんか、今年で中学三年生になる予定だ。

 私の今までの人生は、順風満帆と言うほどではなかったが、友や家族に恵まれ、幸せだったと言えるだろう。

 今日も学校の後、中の良い友人たちとカラオケに行ってきた。

 正直言って、私の歌唱力はそこまで高くないのだが、友達からは上手いと評判だ。

 みんなにそう言われると、嫌でも自信がついてしまうので、今日は沢山の歌を歌った。

 その帰りに本屋に寄って本を見ていたのだが、なぜか気になる本があったので手に取ってみる。

 ライトノベルと呼ばれる分類のその本は、私に異世界の生活を見せてくれた。

 受験も近く、こんな本にうつつを抜かしている場合ではないのだが、少しハマってしまった。

 いろんな本を読んで、異世界に思いを募らせた頃。

 受験はそこまで迫っていた。

 勉強もせずにこんな本を読みまくっていたせいで成績はガタ落ち、先生や友人、家族からさえも心配されるようになってしまった。

 一度ライトノベルを全て捨てたのだが、今度は小説家になろうというサイトで、結局似たような物を読んでしまう。


(私ってダメだな...)


 自分で自分の首を絞めていることに気がついていても、好きなことは放って置けない。

 毎日の更新が楽しみになり、余計勉強になど手がつかない。

 いつものように学校から帰ってくると、いつも見ている小説が更新されていたので開いてみる。

 相変わらず馬鹿みたいな文章の小説なのだが、心から笑える。

 文字を読んでいるだけで幸せになれるのなら、勉強など必要ではないのではないのだろうか?。

 本気でそう考えるようになってきたので、末期だと思える。

 相変わらずの内容を読んで、私は腹を抱えて笑う。


「これくらいなら、自分でも書けそう...」


 誰しもがそう思うが、実際描いてみると難しい物だとわかる。

 文を読むのは好きだが、自分で作るのは向いていないようだった。


「さて、今日はもう寝ようかな...、勉強もしないといけないのにしなかったな...」


 部屋の電気を消して暗闇の中、ベッドに潜り込む。


(明日こそは勉強もしよう...)


 そう考えながら、目を閉じて、まどろみの中、夢に落ちていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る