しのぶちゃんと変な友達

京路

序章

『魔王が封印されなければ、君は地獄に落ちる』

 電話越しにそんなことを言われたしのぶちゃんは、ため息をついた。

 魔王。封印。地獄。

 マンガやゲームの中にしかなかった単語が自分の身に降りかかってきている。

 たった一日で、世界ががらりと変わってしまった。

 今日はただの高校生活の初日、というだけだったはずなのに。

 雪が降って、変な女の子と出会って、変態に襲われて――締めくくりが神様からの脅迫。

 ――とんでもない一日……。

 しのぶちゃんは、その一日のはじまりに思いを馳せる。

 雪にはしゃいだ今朝が、ひどく遠い日の出来事に思えた。


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