ポラリス サイドストーリー

サタナエル

シリウス

あたしは昔から素直になれない。

親にも友人にもそうだった。

本があたしの友達。本は裏切らない。

だってあたしの友達だから。

彼氏であるカケルには何故か素直になれた。

どうして?

「レミってば、毎日図書館に行くからつまんない」

あたしの友人である女の子がそう言った。

図書館はあたしを落ち着かせてくれる。

カケルはあまり本を読まない。

「レミから芥川龍之介の本を教えてもらったんだ。すっげー勉強になった」

カケルは笑いながらあたしに言った。

「レミは文学好きだからな」

嬉しかった。

カケルは人気者の男の子だ。

カケルを好きだという女の子もたくさんいたが何故かカケルはあたしに告白した。

「カケルはあたしと違ってみんなから人気だね」

あたしはそんな彼が羨ましかった。

羨望か恋なのかこの気持ちはよく分からない。

「俺、レミと付き合ってるからレミのことだけが好きなんだ」

「知ってる」

カケルは本当に素直で優しい。


「ばあちゃん、出掛けるねー」

あたしはビーチサンダルを履いてばあちゃんに言った。

「カケル君のとこかね?」

「うん。いつも一緒に登校してる男の子」

「レミに彼氏が出来るなんてばあちゃんは思わんかったよ」

あたしはカケルと水族館でデートした。

水槽で泳いでいるクラゲを見てカケルがあたしに言う。

「可愛いな」

「うん」

あたしとカケルは互いに手を繋いで館内を歩いた。

今度はペンギンを見た。

「可愛いな。なんか小さい頃のレミみたいだな」

「カケルも小さい頃はあんな感じじゃない?」

クラゲもペンギンも可愛い。

「俺、レミと此処に来れてよかった」

カケルがあたしに言う。

「うん。カケル、また行こうね」

「おう。またレミと此処に来たい」

あたしたちはずっと一緒だ。





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ポラリス サイドストーリー サタナエル @onore300

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