ただキミと一緒に居たい
わっしー
ただいま
俺は封鎖されたジャパリパークに向かっていた。
俺が小さい頃、過ごしていた思い出の場所。
セルリアンが大量発生したために封鎖されてしまった大切な場所。
ジャパリパークを出てからは大変だった。
俺達人類は戦争や飢餓、疫病などにより世界は混乱に陥っていた。地図からは次々と国が消えていつも一緒に居た友達や家族、恋人も死んでいった。
俺は一人になった。
そんな時、思い出す。
ジャパリパークのことを・・・。
そして、俺はそこで出会ったアニマルガール・・・イエイヌのことを思い出す。
彼女との日々は幸せな時間だった。
将来は彼女と共にジャパリパークで暮らすことも考えた。
セルリアンから逃げるために彼女にお別れを言ったとき、俺は約束をした。
「絶対に帰って来るから!その時は一緒に暮らそう!」
「はい!ご主人様!」
彼女は嬉しそうに俺を抱きしめてくれる。
そのぬくもりが俺を今まで支えてくれた。
「やっと帰ってきたな・・・。」
俺はクルーザーでジャパリパークに帰ってきた。
「では、これで私はこれで!」
「ありがとう、カルガモ。」
ここまで案内してくれたカルガモにお礼を言う。
「いえいえ・・・。私も案内できてうれしいかったです!」
そう言ってカルガモはその場を去っていく。
そんな彼女の背中が見えなくなるまで手を振る。
「・・・さて。」
俺は一軒の家の前に居た。
その家は俺がジャパリパークに住んでいたころに住んでいた場所。
多くの幸せな思い出が眠っている大切な場所。
「イエイヌ・・・待っていてくれているかな?」
俺はドキドキしながら家のドアを開ける。
「・・・。」
しかし、そこはモノ家の空だった。
「・・・そうだよな。もう、何年経っていると思っているんだ・・・。」
俺の視界がゆがむ。頬には生暖かい温度を感じる。
「・・・ごめん、イエイヌ。」
きっと愛想を尽かせてしまったんだろうな・・・。
当たり前だ。いつ帰って来るかもわからない人間を待つなんて時間の無駄だ。
「俺は・・・。」
その時、あるモノが俺の目に入る。
「コレって・・・。」
それはイエイヌにプレゼントしたフリスビーだった。
「・・・大事にしていてくれたんだな。」
そのフリスビーはもうボロボロで使い込まれているのを感じた。
「イエイヌ!行くよ!」
「はい、ご主人様!」
俺がフリスビーを投げるとイエイヌは高くジャンプをしてキャッチする。
「凄いぞ!イエイヌ!」
「えへへ・・・。」
イエイヌは嬉しそうに俺にフリスビーを渡してくる。
「ご主人様!もう一回!」
「うん!行くよ!」
そう言って俺はもう一度フリスビーを投げた。
「・・・。」
フリスビーに俺の涙が落ちる。
「イエイヌ・・・。どこに居るんだよ・・・。」
俺はフリスビーを抱きかかえる。
会いたい・・・。彼女の温もりを感じたい。
「俺は・・・俺・・は・・・。」
「誰かいるんですか?」
その時、俺の後ろから声がした。
「えっ?」
その声はとても懐かしい声だった。
「・・・ご主人様?」
「イエイヌ・・・。」
そこにいたのはボロボロになったイエイヌだった。
「ごしゅじ・・・。」
「イエイヌ!」
「キャ!?」
俺は彼女を抱きしめる。
「どうしたんだ、この傷!?誰にやられたんだ!?どこに行っていたんだよ!?」
「い・・・痛いです。ご主人様・・・。」
そんなイエイヌの声を無視して抱きしめる。
彼女の懐かしい温もりを存分に感じる。
「・・・ご主人様、泣いている?」
「・・・ああ。嬉しくてな・・・。」
「そうなんだ・・・。ご主人様、私も嬉しいです。」
イエイヌが俺の頭を撫でてくれる。
「おかえりなさい・・・ご主人様。」
「ただいま・・・イエイヌ。」
俺達は遂に再会することが出来たのだった。
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