ニート少年
高田れとろ
第1話 少年誕生
少年と呼ばれるには、いささか歳を重ね過ぎている。
そこの男の子。
おい、少年。
青年。
青年については、口に出して呼ばれたことはないが、間接的に「あの青年」と呼んだりすることもあるか。
その次は?
中年男性?
おじさん?
おじいさん?
老いぼれ?
他の総称が思い浮かばず、ずっと考えていたら、眩しかった東の窓が、すっかり輝きを失い、太陽は疲れた姿で西の空に吸い込まれていた。今日は良い天気だったのだろう。暑くて、朝からエアコンはつけっぱなし。一度も窓を開けることなく、机に向かう僕の顔面には、扇風機の安っぽい風が当たり続けていた。
ここ数日、なんとなく、右頬皮膚の水分が失われているような気がしていた。顔が乾燥し、かさつき、痒いのだ。
左手で右頬を掻く。右手は、基本的にパソコンのキーボードから離さない。右手を動かしながら、画面に文字を綴り、無意識に右頬を掻いているものだから、ポツポツと出来ていた湿疹を、掻き壊し、皮膚に炎症を与えていたことに、風呂に入る時の洗面台で気が付いた。
慌てて母に言うと、保湿クリームを勧められた。教えられた通りに頬に塗るが、効果があるとは思えないような皮膚への浸透力だった。これを毎晩、風呂上りに塗れば、数日後には良くなるらしい。本当だろうか。
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