(5)絶望について
絶望とはきっと未来に対してなんの希望も持てないことだろうと思う。
僕は絶望していた、あの時のあの春
今は、僕が絶望しているかといったら、絶望はしていないと思う。
あきらめてしまったから......かな
本棚の本をめちゃくちゃに引っ張り出して捨てた
勉強机にマジックペンでめちゃくちゃに落書きした
夜の道をビールを飲みながら大声を出してうたを歌った
それで、孤独という絶望は癒えたかといったら、癒えはしなかったと思う。
なのに、今、僕が絶望しているかといったら、絶望はしていないと思う。
本棚に並べたたくさんの本
たくさん勉強したはずの机、成績はちっとも良くならなかったけれど
夜空に響いた僕の下手くそな歌
僕を見守ってくれていた筈のものたちを僕は捨てて
あきらめてしまった代わりに、今、僕は絶望はしていない
夜空に響いた僕の下手くそな歌は、
決して君に届くことはなかったけれど
それでもなお、今、僕は絶望はしていない
ならばこそ、もう一度歌おう、歌おうぜ
僕は知っている。一生届かないうたを歌い続けることを。
もう一度歌おう、一生届かないうたを。
もう一度歌おう。
歌おうぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます