(5)絶望について

絶望とはきっと未来に対してなんの希望も持てないことだろうと思う。


僕は絶望していた、あの時のあの春


今は、僕が絶望しているかといったら、絶望はしていないと思う。


あきらめてしまったから......かな



本棚の本をめちゃくちゃに引っ張り出して捨てた


勉強机にマジックペンでめちゃくちゃに落書きした


夜の道をビールを飲みながら大声を出してうたを歌った



それで、孤独という絶望は癒えたかといったら、癒えはしなかったと思う。


なのに、今、僕が絶望しているかといったら、絶望はしていないと思う。



本棚に並べたたくさんの本


たくさん勉強したはずの机、成績はちっとも良くならなかったけれど


夜空に響いた僕の下手くそな歌



僕を見守ってくれていた筈のものたちを僕は捨てて


あきらめてしまった代わりに、今、僕は絶望はしていない



夜空に響いた僕の下手くそな歌は、


決して君に届くことはなかったけれど



それでもなお、今、僕は絶望はしていない


ならばこそ、もう一度歌おう、歌おうぜ



僕は知っている。一生届かないうたを歌い続けることを。


もう一度歌おう、一生届かないうたを。


もう一度歌おう。


歌おうぜ。

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