第11話

それから数日後の朝、僕たちはシニネン王国に到着。

「では、これからのことについての確認です。」

そう言ってソーマさんは僕達に確認した。

まず、僕たちの所持金は20万リル持っている。

このお金は僕がヴァルコイネンから出る際にグラン王からもらったお金だ。

1リル=10円程度の価値があるため日本円にすると200万円という大金だ。

「幸い、俺達にはお金がありますのでしばらくの間は暮らしていけるでしょう。」

そう言ってソーマさんは羊皮紙を出す。

そこには、生活に必要な金額が書かれていた。


一戸建て 約10万リル~15万リル程(登録料なども含む)。

家具 約2万リル程度

食費 1食10リル程度 1日30リル。一ヶ月、一人当たり900リル×6人=5400リル。

消耗品 薬・油・調味料など 約1000リル。


「さて、家については街や村の中で探すのは危険と判断しましたので街や村の郊外の物件を探すとします。」

「僕達が原因だよね?」

「そうだね。特にマリアとシルビアに関してはあまり人前に出ることは避けたいからね・・・。」

「ああ・・・。カーラの言う通りです。そのため、まずは家を探したいと思うのですが・・・。」

「そうだね。家の値段で残りのお金が変わるからね・・・。」

10万~15万リルではかなり違う。

削れるところは削らないと・・・。

ということで、僕たちはシニネン王国の物件を探すことになった。

「事前にマードック様から教えてもらった店なので信用はあると思います。」

その店はシニネン王国の街の一等地に建った立派な店だった。

「この店には様々な物件が揃っているということです。」

「へぇ・・・。」

その店の名前は「シニネン不動産」という。

「それでは入りましょう。」

僕達は店に入る。

「いらっしゃいませ!」

出迎えてくれたのは、身なりの良い男性だった。

「ヴァルコイネン王国宮廷魔導師マードック様の紹介で来ました、ソーマ・ソルダンと言います。」

「はい、お待ちしておりましたソーマ様!」

身なりの良い男性がソーマさんに笑いかける。

「わたくし、シニネン不動産の営業担当のキサラと申します。よろしくお願いします。」

そう言ってキサラさんは僕達にソファを進める。

「しかし、聞いていた人数よりも多いような気がするのですが・・・?」

「ああ・・・。途中で増えてしまって・・・。大丈夫でしょうか?」

「はい!お任せ下さい。・・・少々お待ちください。」

そう言ってキサラさんは奥に引っ込む。

しばらくすると、キサラさんは1枚の羊皮紙を持ってくる。

「事前に聞いていた予定額を鑑みて、かつこの人数を収容出来る家となりますとココだけになりますね・・・。」

そう言って持ってきた羊皮紙を見ると・・・。


部屋は6部屋。

20畳のダイニングキッチンがあり、馬小屋もある。

家具付。


「値段は10万リルですか・・・?」

これだけ大きな家なら日本とかで買ったら3000万~1億以上は飛ぶはず・・・。

10万リルとなると日本円で100万程度ということだ。

「あの・・・。いくら何でも安すぎませんか?」

ソーマさんもこの価格を見て疑問に思っているようだ。

「・・・まあ、少し築年数が経っており家主もすぐにでも手放したいというのです。」

キサラさんは少し言葉を濁す。

「・・・とりあえず、家を見てみようよ!」

「そうですね・・・。とりあえず、見ましょうか?」

僕もカーラさんに同意した。


街を出て馬車で3時間ほどの所にそれはあった。

「ここが・・・?」

僕達はその家を見て言葉を失くす。

外観は大きな洋館なのだが何というか全体的に暗い。

もう、見るからにどんよりとした空気が漂ってくる。

「これは、何というか・・・。」

「・・・主様、ここ嫌。」

シルビアが怯えている。

「とりあえず、中を見て見ましょうよ!」

カーラさんの言葉にキーラさんを先頭に洋館に入って行く。

「・・・。」

中は比較的綺麗だが、床はギシギシとなり家具や天井の隅にはホコリや蜘蛛の巣が張っている。

「掃除は必要ですが大変お買い得な物件となっております。」

キサラさんはそう言う。

確かに中の様子を見る限り家具などは掃除をすれば大丈夫そうだ・・・。

しかし・・・。

「・・・。」

シルビアは家に入ってから僕にしがみついていた。

顔は恐怖でゆがみ青白くなっている。

「シルビア、大丈夫?」

「主様、ここ早く出よう!早く出ないと、大変なことに・・・!」

その時、バタン!と大きな音が家中に響き渡った。

「・・・なに?」

カーラさんとソーマさん、アルスは剣を抜き構える。

「わたくしが見に行ってきます。」

そう言ってキサラさんが音のした方に走って行った。

しばらくの静寂ののち・・・。

「ぎゃあ!!!!!」

キサラさんの悲鳴が響き渡る。

「行こう!」

僕は盾を構えながら走る。

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