犬から始まる転生物語~鈴木竜牙と転生女神~

藤正治

プロローグ

第1話 鈴木竜牙と転生女神(前)

「竜牙! 竜牙! 死んじゃヤダよおっ!」


 鈴木竜牙は混濁した意識の底で、義姉である奈美の声を聞いた。

 それは胸をかきむしられるような、悲痛な叫びであった。

 朦朧としていた竜牙の意識が、わずかに醒める。

 たとえ死の淵にあっても、奈美の声だけは聞き逃すことはない。


 なぜなら竜牙にとって、彼女こそが世界の中心を占める存在なのだから。


 夕暮れ迫る住宅地で、突如として発生した略取未遂事件。

 数人の男達に組み伏せられ、支離滅裂に喚き散らす容疑者のストーカー。

 スマホで現場を撮影しながら、興奮して騒ぎ立てる野次馬達。

 甲高いパトカーのサイレンが、次第に近付いてきた。


 鈴木竜牙は、冷たいアスファルトの路面に横たわっていた。

 苦しげに喘ぐ彼の腹部はナイフで刺され、真っ赤に染まっている

 その傍らに跪いているのが竜牙の義姉、今年で中学三年生になる鈴木奈美だ。

「竜牙! お願い! 目を開けて!」

 奈美は必死になって、竜牙に呼び掛ける。

 腹部の傷口を押さえる彼女の両手は、溢れる血に塗れていた。

「そ、そうだ 、びょういん、病院に行こう! ね、竜牙!」

 気が動転していた奈美は、ようやくそのことに思い至る。

 竜牙の身体を抱き起そうとするが、少女の細腕では厳しい重さだ。

 まして傷口を抑えながらでは、至難の業であろう。

 しかし奈美は両手両足に力を入れ、断固として叫んだ。


「絶対に! お姉ちゃんが助けてあげるから!!」


 その時、竜牙の瞼がうっすらと開いた。

 光を失いつつある黒い瞳に、少女の泣き顔がぼんやりと映る。

 ぼろぼろとこぼれる少女の涙が、彼の鼻先に滴り落ちてきた。

 いま、彼の胸に去来しているのは、どのような想いであろう。


 ストーカーの魔手から、姉を守り通した満足感か。

 それとも、家族を残して逝くことへの未練であろうか。

 あるいは――――


「――――竜牙?」

 ひゅうっと息を吸い込んだ後、竜牙の身体がぐったりと弛緩する。

 物言わぬ亡骸となった竜牙を、奈美はギュッと抱き締めた。


「りゅうがああぁ――――!!」


 少女の慟哭を、間近に迫ったサイレンが無情に掻き消した。




 そして鈴木竜牙は、白い空間で目覚めた。

 彼の眼前にたたずむのは、一柱の女神。


「イヌじゃんっ!?」

 竜牙を一目見るなり、女神は突っ込んだ。


「ワンワンワンッ!」

 竜牙は吠えまくり、女神を威嚇した。


 運命の連鎖は、この瞬間に始まったのである。


 ◆


 鈴木竜牙は、柴犬のミックスである。

 くるりと巻いた尻尾に、ピンと立った耳。

 ちょっと短めの四つ脚、手袋をはめたように白い爪先。

 全体に明るい茶色の毛に、白いマロ眉と黒い鼻づら。

 正真正銘、紛うことなきネコ目イヌ科イヌ属である。


 ハッハッと息を荒げながらチョコンとお座りする、鈴木竜牙。

 女神に向けた眼差しが、物欲しげな期待に満ちている。

「なんでイヌがここに来るのよ! おかしいでしょ!」

 そこはどこまでも続く、広大無辺な純白の世界。

 女神の内宇宙であり、地上にある世界【アイスベル】へと続くゲート。

 そして異世界からの来訪者が漂着する特異点でもあった。


 女神の名は、フロスティア。

 アイスベル世界に属し、漂流者の転生を担当する神である。

 ちょっと勝気そうだが、整った容貌。外見年齢は、一〇代前半。

 腰まで届く水色の髪を、ツインテールにまとめている。

 着用しているのは、とある中学校の女子制服をアレンジしたもの。


 現在の女神の姿は、鈴木奈美と瓜二つであった。


 最初、見知らぬ場所で目覚めた竜牙は、ワンワン吠えまくった。

 あまりにも煩かったので、女神は彼の記憶に焼き付いた、奈美の姿を模倣したのである。

 女神である彼女にとって、自らの容姿を変化させることなど造作もない。

 見慣れた少女の姿を前にして、竜牙はあっさり警戒心を解いた。


「完全に想定外だわ。こんなの、どうすりゃいいのよー」

「ワンワン!」

「うん、君には訊いてないから、大人しくしてよーね?」

 フロスティアが指先を弾く仕草をすると、光の粒が竜牙へと飛んだ。

 女神が即席で創った味覚嗅覚情報素子――――オヤツである

 口でキャッチした竜牙は、嬉しそうにパタパタと尻尾を振る。

 意地汚い竜牙は、すっかり女神に餌付けされていた。



 ――漂流者という存在がある。

 死亡時に所属世界の時間軸から弾き出され、別の世界へと漂着する者達の総称だ。

 フロスティアは、漂流者をアイスベルに転生させる役目を負った女神なのである。


 しかし今回、異世界からやってきたのは、犬だ。

 漂流者となるのは通常、各々の世界に属する人類なのである。

 実際、人類以外の生命体が漂流者となった例を女神は知らない。


(見掛けはただのイヌだけど、ひょっとして特殊な個体なのかしら?)

 疑問に思った女神は、アイスベルの統合管理システム、【アクシス】に接続。

 竜牙に関するデータを申請すると、予想外に早く情報が転送された。

 それは神々からすれば瞬きする間もない、わずか五年の生涯であった。


 鈴木竜牙は、かつて捨て犬だった。

 子犬だった頃、衰弱して空き地の草むらに転がっていたのである。

 それを保護したのが鈴木奈美という、当時小学生だった女の子。

 そして竜牙と名付けられ、鈴木家で暮らすことになった。


 鈴木家の家族構成は、以下の通りである。

 父、大二郎。母、志津江。

 長女、涼子。次女、律子。三女、奈美。

 鈴木家の人々が竜牙に注いだ愛情は、とても深かった。

 ペットを飼うというより、末っ子のように愛されたのである。

 特に竜牙を保護した三女の奈美は、一番年下の弟を溺愛する。

 外出する時など、常に竜牙を引き連れる程であった。

 しかし鈴木家の人々が、ちょっと過保護だったせいだろうか。

 竜牙は、たいそう甘ったれた性格に育ってしまう。

 それでも彼の日常は、平穏で満ち足りていた。

 いつか訪れる別れの時まで、それはずっと続くはずだった。


 しかし、奈美がストーカーに襲われる事件が起きてしまう。

 竜牙と散歩中だった奈美を、ストーカーがナイフで脅し、車に連れ込もうとしたのである。

 ストーカーはもちろん、竜牙の存在は把握していた。

 しかし奈美のついでに観察した様子から、気弱で無害な愛玩動物だと判断する。

 奈美を手に入れる障害にならないと、一顧だにしなかった。


 しかし、ナイフを突き付けられた奈美が悲鳴を上げた瞬間、竜牙は豹変した。

 ストーカーに牙を剥き、その腕に咬み付いたのである。


 想定外の事態にストーカーは喚き、必死になって竜牙を振り解こうとした。

 そして両者が揉み合っていた、その時である。

 凶刃の切っ先が、竜牙の腹部に深々と突き刺さってしまったのだ。

 それでも竜牙は咬み付いた腕を放さず、ストーカーは完全なパニック状態に陥る。

 奈美の悲鳴に駆け付けた人々によって、ストーカーは簡単に取り押さえられた。


 しかし深い傷を負った竜牙は、その生涯を閉じる。

 享年 五歳。

 犬の寿命は儚いが、それにしても早すぎる死であった。



「…………やるじゃないの、君」

 鈴木竜牙に関する全生涯を読み取ると、フロスティアはしんみりした口調で呟く。

「命懸けで女の子を守るなんて、大したものね」

「フワァ――――」

 大あくびをする竜牙を、女神がジト目で睨んだ

「聞きなさいよ、せっかく女神さまが褒めているんだから」


 その時ふと、ある仮説がフロスティアの思考を過ぎった。

「ほんとはさー、鈴木奈美が死ぬ運命だったのかもねー?」

 しかし身代わりという形で、竜牙がそれを覆してしまったのではないか?

 だから竜牙が属する世界は、彼を放逐したのかもしれない。

 竜牙が存在しない形で、正しい時間軸を再構成するために。


「ワンッ!」

「わん、じゃないのよー」

 フロスティアの眼差しが、微かに哀れみを帯びる。


 異世界からの漂流者を、アイスベルに転生させればどうなるか。

 フロスティアは転生担当に着任後、ある統計データをハッキングしたことがあった。

 そして自分の好奇心を、後々まで後悔する羽目になってしまう。


 八七%


 アイスベルに転生後三〇日以内の、漂流者達の死亡率である。

 あまりにも過酷な現実に、当時の女神は呆然自失となってしまったのだ。

 救済処置として加護や職能ジョブを与えた人類でさえ、この数字なのだ。

 甘やかされて育った飼い犬を一頭、地上に放り出せば、その末路は明白である。


 だが柴犬である竜牙は、自分の身に起きた事態を理解していない。

 座ったままの格好で、呑気に後脚で首筋を掻き始めた。

「あーもうっ! どうすりゃいいのよっ!」

 ツインテールを両手でひっぱり、ウガーと叫ぶ女神。

「ワンワンワンッ!」

 いきなり錯乱した女神に驚き、竜牙が吠え掛かる。

「おだまり!」

 フロスティアが、ドンと足を踏み鳴らす。

 空間全体がビリビリ震え、竜牙は跳び上がって驚いた。

 尻尾を丸めてへたり込むと、竜牙はクーンと鼻を鳴らした。


「おっけーおっけー、冷静になりましょ?」

 怯える竜牙に、フロスティアは声を和らげる。

「フロスティア様にお任せよ? できるだけのことはしてあげるから♪」

 ワザとらしくウィンクすると、にっこりと0円スマイルを浮かべる。

 相手の機嫌が直ったのを察し、竜牙も元気を取り戻した。


「アイスベルは、剣と魔法で大活躍できる世界です」


 フロスティアは威儀を正し、女神っぽく告げた。

「ハッハッハッハッ」

「よーしよし。嬉しそうに尻尾を振っているけど、意味分ってないよねー?」

 アッハッハと、フロスティアは腰に手を当てて大笑である。


 剣と魔法の世界。

 このファンタジーなフレーズを告げると、一部の漂流者は目を輝かせる。

 開示情報の規制を回避し、女神が与えた警告だと気付かずに。

 その台詞を地球風味に意訳すると、こういう内容になるのだ。


 ――ナイフとか銃火器が横行する、物騒な世界ですよー?

 もちろん、犬である竜牙に言葉の裏を読むなんて芸当はできなかったが。


「とりあえず、お試しでアイスベルに行ってみよー!」

 気を取り直した女神は、こぶしを振り上げて宣言する。

 加護や職能ジョブを与えるにしても、まず対象の適正を測る必要がある。

「チュートリアルだよー、大サービスだぞ♪」

 意思疎通が困難なための緊急処置だと、女神は規則を拡大解釈した。

複製体アバターで体験できるから命に別状はないよーって、もう死んでるっかー!」

「ワンワンッ!」

「それじゃ、いってみよー!」


 女神が合図した直後、竜牙はアイスベルの大地に立っていた。

 広々とした緑の平原が、どこまでも続いている。

 いきなり景色が変化し、竜牙はキョロキョロと首を左右に巡らせた。

 しばらく地面を嗅ぎまわっていたが、ハッとした様子で顔を上げた。

 流れる風の中に、嗅ぎ慣れぬ臭いを察知したのである。

 珍しい臭いに惹かれ、竜牙は勢いよく駆け出した。

 好奇心旺盛なやつなのである。


 そして竜牙の前方には現れた、人型生物。

 緑色の肌、成人男性の胸元までしかない小さな体格、衣服は腰ミノ一丁。

 アイスベルに生息する、ゴブリンと呼ばれる生物だ。

 その手には、鋭く尖った石を括りつけた槍を握り締めていた。


「ワンワンワンッ!」

 興奮した竜牙が、ゴブリン目掛けてまっしぐらに突進する。

 一方のゴブリンは見慣れぬ動物に、ちょっと驚きはした。

(――――エモノ)

 しかしゴブリンにとって大事なのは、食えるか食えないか、それだけである。

 手にした槍を大きく振りかぶると、思いっきり投げた。

 小さな狩人の槍は、狙い違わず標的へと飛んだ。

 飛来物に気付いた竜牙は、奈美と遊んだフリスビーを思い出す。

 空中でキャッチしようとジャンプ、大口を開けた。

 そこへ槍が貫通し――――



「おいこらっ! 野生の本能はどうしたあ――――っ!!」

「キャンッ!?」

 フロスティアが怒鳴ると、竜牙は耳を伏せて尻尾を丸めた。

「どう見たって危ない相手でしょうが! 逃げなさいよ! 一目散に!」

「クーン?」

 槍の穂先で貫かれる寸前、フロスティアは竜牙を呼び戻した。

 刺されば痛みを感じてしまうが、複製体が消滅するだけで済むのだ。

 適性を見定めるという趣旨からすれば、傍観すべき事態であろう。

 ――しかし女神は、竜牙の苦痛を看過することができなかった。


 ひとしきり叱ってから、感情的になったことを恥じたらしい。

「――――いきなりゴブリンと遭遇したのは、手落ちだったわ」

 憮然とした表情で、フロスティアは過ちを認めた。

「今度は人里近くに送ってあげるから」

 ひょっとしたら親切な相手と出会い、その飼い犬となれるかもしれない。

 友好的に接触できれば、転生処置を施して密かに入れ替えればいい。

 小さな女の子と出会い、芽生える友情とか?

 そんなシチュエーションを期待した女神は、再び竜牙を地上に送った。



「ワンワンワンッ!」

「なんだ、あれは! 魔獣か!?」

 急接近する未知の動物に、戦士が剣を構える。

「ワイルドウルフ!? ――――いや、ずっと小さいな?」

「見掛けで侮るな! 見ろ、襲い掛かって来るぞ!」

 首を傾げる戦士の傍らで、魔術師が杖を振りかざす。

「これでも食らえ!」


 杖の先に生じた炎の矢が、竜牙目掛けて発射された。



 こんがり焼かれるより先に、フロスティアは竜牙を呼び戻した。

 慌てた様子でデータを確認した結果――――

こっちアイスベルに、イヌはいないのかー!?」

 ウルフ系統の魔獣はいるが、狼が家畜化した犬は存在しない。

 天敵である魔獣に似た未知の動物を、人類が警戒するのは当然であった。


 フロスティアは基本、自分の内面世界に引きこもっている。

 そんな彼女の密かな趣味は、異世界の放送メディアの受信だ。

 特に竜牙がいた世界の、動物番組がお気に入りなのである。

 だからなんとなく、アイスベルにも犬が棲息しているように錯覚していたのだ。


 フロスティアはツインテールを両手で引っ張り、地団駄を踏んだ。

 ウガーウガーと喚く女神の周りを、竜牙はワンワン吠えながら駆け回る。

 どうやら竜牙は、女神の奇行に慣れてきたらしい。


「やっぱり、人類に転生させるしかないっかー」

 落ち着きを取り戻したフロスティアは、腕を組んで考え込む。

 例外はあるが、各々の世界に繁殖している人類に大きな差異はない。

 だから簡単な肉体改造で、外見的な違和感は抑えられる。

 しかし素体が犬となると、そう簡単には済まない。

 胎児まで逆行させ、祝福と引き換えに代理母を募るしかないだろう。

 幼児の死亡率は高いが、メリットはある。竜牙は犬なので、半可通の知識や思考力がない。

 だから幼少時に悪魔憑きと見做され、排除される危険性は少ないだろう。

 黙考する女神の足元で、竜牙は寝そべっていた。

 横向きになって脚を伸ばし、大あくびを漏らす。

「面倒だけど、しょうがないわねー」

 まるで我が家のように寛ぐ竜牙に、女神は苦笑を浮かべるしかない。

「よーし、ちゃっちゃと転生種族を決めよっかー!」

「ワンッ!」

 女神が宣言すると、竜牙はクルリと身体を起こした。


 生前の竜牙の世界と異なり、アイスベルには複数種の人類が競合している。

 女神は一般的な漂流者転生処置に従い、選ぶべき人類種を提示した。

「最初はこれ! 指がぶっといのに、なぜか器用度に補正が付くドワーフッ!」

 ワイヤーフレームで立体的に描かれた、ずんぐりむっくりの人類種が空中に投影される。

 じゃれつこうとした竜牙が、立体映像をすり抜けてバランスを崩し、無様に着地した。

「キャンッ!?」

「予想通りの反応に構わず、次にいきましょう!」

 次に女神が空中投影したのは、華奢な体格の人類種である。

「魔法適正が高くて寿命が長い でも神を崇めない高慢ちきなエルフッ!!」

「ワオンッ!」

 竜牙は性懲りもなくエルフの立体映像に飛び掛かり、再びすり抜ける。

「最後に紹介するのが、初期値は低いけど成長度が高く、やたらと人口が多いヒューマンッ!」

 ドワーフより細身で背が高いが、エルフよりも頑丈そうな体格。

 外観的には、竜牙が属していた世界の人類に最も近いだろう。

「ワンワンワンッ!」

 三体の虚像に何度も突っ込んでいる内に楽しくなってきたのか、竜牙が吠えまくる。

「さあ定番だとこの三種族がお勧めだけど、どれが希望かなっ!」

「ワンッ!」

「わっからないよねー知ってたー」

 アッハッハと女神が笑うと、竜牙は興奮のあまり尻尾を追ってクルクルと回り出す。

「よし、じゃあヒューマンで! きっと良いことがある気がするわ!」

 面倒になったのか、即決するフロスティア。

「平均化補正で能力値的には面白みのない、ちょっぴり残念種族だけど転生の素人にお勧めだよー!」

「ワンッ!」

「転生の玄人がいるのかよって、突っ込みが欲しかったけどねっ!」

 フロスティアは目の前に入力用パネルを具現化すると、人差し指でぽちぽちとタイピングする。

 わざわざ手動操作にこだわるのは、女神の趣味である。

「加護と職能ジョブは当社比で大サービス! よっ、太っ腹―! いやわたしはスリムだけどねー!」

「ワンワンワンッ!」

 際限なくテンションが上がりまくる、女神と柴犬(ミックス)。

「転生種族はヒューマン! 加護と職能ジョブの候補は、さて何があるっかなー?」


【異種族転生 不可】


「なんでよっ!?」

 パネルに映し出された、竜牙の各種パラメーター。


【加護・職能ジョブ付与 不可】


「そんなっ!?」

 そこに記された禁止事項に、フロスティアは血相を変えた。

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