勇気
その頃、朋子は携帯電話で部屋のカメラを見ていた。どこにもいない春香を探している。
「おかしいなぁ、買い物かしら。まっ、いっかー」
春香の水着姿は高く売れた。
隠しカメラの方も高く売れるだろう。
これで当分、夜働かなくても暮らしていけるだろう。
「パパに会わせてやらなくていいのか?」
「アイツは死んでるんじゃない?優も施設に放り込んだから適当に誤魔化しておくわ」
「悪いヤツだな」
蕪木と朋子はワインで乾杯してた。
朋子には悪気というものはないらしい。
病院でパパは電話をしている。
「一刻も早い方がいいんだ、頼む!!」
誰もいないのにお辞儀をしている。
パパの病気は胃ガンだと伝えられ、手術をすれば助かると言っている。
パパが電話を切ると
「しばらくパパのもとにいなさい、弁護士の人が明日来るから!」
パパに甘えることにしよう。
個室の部屋だった為、簡易ベッドを置いてもらえる事になった。
「ママには連絡しなくていいの?」
「あぁ、する必要ないよ」
これで安心して眠れる。
朝になるとパパが起きてる。
どこかから連絡あったみたいだ。
「おはよう。ママから電話が来た」
「えっ?!なんて?」
「お前に会わせろって来てたが居ないと答えたよ」
それでも病院の場所がわかれば、連れ戻されてしまう。
「病院の場所は言ってないが嗅ぎ付けられるといけないから、パパの弁護士のところへ行きなさい」
そう話しているとコンコンとノックの音だ。
体がこわばって動けない。
ママなんじゃないかと思いパパの後ろに隠れる。
「村木ー、入るぞ」
男の声だった。
「春香、大丈夫だよ。パパの友達の飯沼だ、弁護士をしている」
「春香ちゃんだよね・・・?飯沼です」
名刺を渡される。
「子供に名刺って職業病か?」
パパは笑って言うが、表情は真剣になる。
「とにかく時間がないんだ!お前の事務所へ連れていってくれないか」
「あぁ、わかった」
飯沼がわたしの手をとる。
「パパ・・・!」
「良い子にしてるんだぞ、また会える!」
後ろ髪引かれながらも飯沼と歩く。
飯沼さんの車に乗ると
「じゃあ、ちょっと飛ばすよ」
シートベルトを着けると、発進した。
キュルルとお腹が鳴る。
「事務所に着いたら朝ごはんだな」
飯沼はハハッと笑いながら言う。
昨日から何も食べてない事に気づく。
「昨日から何も食べてないです」
「わかった」
飯沼の事務所に着くと受付のお姉さんが出てきて、わたしにこう言う。
「嫌いなものあるかな?」
「ないです」
「じゃあ用意してあるから食べようか」
コンビニのサンドウィッチだったが美味しい。イチゴミルクもある。
「飯沼先生、春香ちゃんをどこにかくまえばよろしいですか?」
「そうだなー。僕のところで構わないよ」
「わかりました」
お姉さんはお菓子を持って来てくれ、部屋から出ていく。
「春香ちゃん、昨日の事を話してくれないかな?パパに話したことを」
全て話終えると、どこかに電話をしている。
少年課?って言ってる。
どこ・・・?
その頃、朋子は東京渋谷総合病院にいた。
「返しなさいよ!春香を・・・!」
ヒステリックに叫ぶ。
信治はナースコールを押す。
「卑怯ね!」
「どっちが!?お前のやったことは全部わかってるんだぞ!出ていけ!!」
「出ていくわよ、あんたを殺してからね」
ナイフを振りかざそうとしたその時だった、看護師達が入って朋子を止めようとする。
「離しなさいよ!」
「警察呼びますよ!」
「しつこいわね、離しなさいよ!」
ナイフを取り上げられたのか、逃げる朋子。
看護師が警察を呼ぼうとするが、信治が止める。
朋子は病院から逃げるとすぐに蕪木の車に乗る。
「警察を呼ばれそうになったわ」
「居なかったんだな?」
「いなかったわ」
朋子は爪を噛みながら言う。
「どこに行ったのかしら」
朋子はとりあえず家に戻ろうとする。
蕪木と一緒にマンションに着くとピンポンとチャイムが鳴る。
「春香かしら」
ドアを開けると刑事が逮捕状を持っている。
「なんですか?」
「村木朋子、蕪木秀也、ポルノ児童法違反で逮捕する」
「は?何よ、それ」
手錠が朋子と蕪木の手にかけられた。
捜査員が数名、家の中で捜査する。
「ありました!小型カメラです」
「よし!」
朋子と蕪木は諦めたかのようにうなだれる。
わたしはママが捕まったことを知る。
木村先生が飯沼弁護士事務所に訪れる。
「ひどい目にあったね・・・」
「ママは捕まったんですか?」
「そうよ」
ママが捕まったらわたしはどこに行くのだろう。ゆうちゃんは施設にいるから、わたしもそこに入るのだろうか。
「児童相談所の人と話してきたわ。」
「わたしも施設に入るんですか?」
「いえ、おじいさまの所に養子に入ることになるわ、優くんも」
ゆうちゃんに会える。
おじいちゃん達のそばにいられる。
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