第2話 羽根と涼太
「涼太、お前意外とエモいやつだよな。
ずっーと前から一緒にいるってのに、まったく今の今まで感じたことなかったけど…
えくぼの伝説?
それはエモいやろ、知らんけど!
それともさ、ひょっとして俺のえくぼをディスってんのか?」
「やめてよ、エモいってさー
羽根のほうこそ、エモいとか言って僕のことディスってんだろっ。
しかも、ちょっと関西弁入ってるの何で?」
幼なじみで腐れ縁の羽根にはえくぼがある。
高校からの帰り道。
僕がネットで偶然に見つけた、中国のえくぼ伝説の話。
羽根のえくぼをディスるつもりなんてなかったし…
本当は羽根にもうひとつ教えたいことがあったんだけど…
先に歩く羽根の背中を見ながら、僕は何だか恥ずかしくなって、それを羽根に教えるのはやめたんだ。
それはえくぼのまた別の言い伝え。
生まれてくる前の可愛い赤ちゃんにだけ天使がキスした印がえくぼなんだってこと。
「涼太、だいたいさー
毎日俺のこと迎えにくる必要ないから。
校門の前で他校のやつが待ってるって俺クラスのやつに、ちょっと…いじられてんだぞ。」
「はいはい、羽根ちゃん。
よく言いますよねー。
僕が迎えに行かなかったら行かなかったで、おへそ曲げちゃうくせに。」
羽根は振り返って僕のことを人睨みし、
「本当に明日は来なくていいから。」
そう言って羽根の家の玄関のドアを閉めた。
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