第12話:LGBT②

難しい問題ではあるが、個性というものはやはり人によって違うものである。

特に性同一性障害で悩む人に対しての漢方薬は、そうそう存在するものではない。個人の性癖が治せないものと同じく、救済措置というものがない。

何故ならこればかりは「気持ち」というものが大事だからである。

誰もが幸せになる要素があるとしても、それは100%という数字を絶対に出せない事情があるからだ。除菌率99.99%という違和感の中には0.01%は取り除けない不安要素を残しておかないと、後々効果の出なかった人に対しての言い訳がしづらくなるからである。だから、ここでいう「LGBT」に対しては、同じような処遇の人であったとしても、考え方は微妙に変わってくるものなのだ。なので、やらなければいけないことというのは・・・。

「何故父親なんだ?他に好きな人はいないのか?」

「他じゃダメなんです。何ていうか胸がトキメカナイというか」

「トキメカナイのか・・・」

子供ながらに悩みは絶えないのだろう。

「何故女性が好きになれない?その理由は何か分かっているかい?」

「興味がないんですよね。よくクラスの男子が成人雑誌持って来たり、クラスの女子とヤッタとか言いますけど、全然ピンときませんね」

「そうか、それはでも草食系男子によくあることだぞ?」

「でも自分は草食系ではないと思うんです。父を思うと、ずっと興奮が止まらないのです」

「へぇ~」

父親の何に興奮してしまっているのかがまだわからない。性癖だけは個人の特需性があるために、一概にこれという回答は出せないのだ。

「父親ってすごいですよね」

「まあそうだな。いい父親も悪い父親もいる。しかしそれを決めるのは、子供だ」

「うちの父親はきっといい父親ですよ!」

「そんな父親に君の思いは伝えたのか?」

「伝えましたよ!将来は父親と結婚したいって!でも怒られました。そんな冗談言って無いで、将来結婚できるお嫁さんを探せと」

「父親としては気になるんでしょうね、息子のことが」

「でも僕の意志は変わらないですよ!」

「父親のどんなところが魅力なんだ?」

「何ていうか僕ってあまりスポーツも勉強もダメで、そんな父親は優しくしてくれました。クラスの誰とも馴染めずにいた時、仕事で忙しいながらもずっと僕のことを考えてくれました。ずっと一人っ子だったので・・・」

この時金成は気づいた点がある。彼の呪縛はなんなのか。

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