バイト先へ
水谷一志
第1話 バイト先へ
主人公、【お兄ちゃんの男】
一
「いつもありがとね、お兄ちゃん。」
「おう!」
俺はその日も、いつものように妹のバイトするコンビニへ行く。
そのコンビニは俺の勤めるオフィスから近く、ちょうど何かを買うのに便利な場所だ。
だから俺はよくそのコンビニへ向かう―、本当にそれだけなのか?
二
俺は現在一人暮らし。妹や両親の住む実家から出て、働きながら青春ライフを満喫している。
そして最近俺はこう思う。
『そういえば、両親もそうだけど妹と会う回数もめっきり減ってしまったな。』と。
―本当にそれだけなのか?
昔、俺がまだ学生だった頃は俺は妹たちと一緒に住んでいた。まあそれは当たり前の話で、妹と一緒にいるのも本当に「当たり前」だった。
しかし、俺は今は一人暮らし。妹とも離れて暮らしている。
そして最近俺はこう思う。
『俺の妹、かわいくなったな。』―それはどういうことだ?
三
俺は今まで妹と一緒にいるのが当たり前だった。しかし人間には離れてみて分かることもある。俺は今、そんな気持ちに支配されている。
しかし、俺は妹にとって、「良いお兄ちゃん」でありたいとも思っている。
妹に頼られ、両親にも親孝行する理想の「お兄ちゃん」―。
俺は、そんな存在になりたいし、立派な兄で居続けたい。
―ということは、俺の気持ちはよこしまなものなのか?
―こんな気持ち、封印した方がいいのか?
しかしそこには、妹への気持ちを抑えきれない自分がいる。
―それはどうしようもないことなのか?
でも俺は、良いお兄ちゃんでもありたいのだ。
四
あと、補足になるが俺たち兄妹は実は血はつながっていない。
両親が再婚し、俺たちはその連れ子だったためだ。
なら、何の問題もないような気もするのだが―。
そんな想いを抱えながら俺はコンビニを後にする。
そして俺は―、【待ち合わせ場所】に向かう。
「あっ、お待たせ!待った?」
少し遅れてそこにやって来たのは―、
俺の【今付き合っている、彼女】だ。 (終)
次の主人公、【(兄が)今付き合っている、彼女】
バイト先へ 水谷一志 @baker_km
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