渡辺 美羽

私には好きな人がいる。その人は私の幼馴染で今朝、脅かしたらものすごく怒った人、井川徹。

彼は、小さなときに女子にいじめられその日から女子が嫌いになった。一切かかわりを持たなくなった。徹のいつも隣にいる神谷君や木宮君が羨ましかった。私も小さいときみたいに隣にいたい。だから、彼の近くにいる二人に近づいた。でも彼との距離は縮まらなかった。私はどうしても彼との距離をもとに戻したい。思いを伝えることが出来なくてもいいから距離を縮める方法を今も考えている。彼らが教室に入ってきた。彼らはとても優秀な人たち。いつも優しい木宮君は勉強がすごくできる人で学年でトップを争うくらいの学力。だけど、スポーツはあまり得意ではなさそうだった。神谷君はスポーツがすごくできて、体育祭の時は大活躍。スポーツなら何でもできる。だが神谷君は、木宮君の逆で勉強は全然できない。いわゆる、スポーツバカ。最後に徹君。徹君は、勉強も得意教科は木宮君を超えることもあり、苦手教科は、平均より少し下くらいだ。でも徹君は実は隠れ小説家。今私の二つ前の女子が読んでいて、その作家のことについて盛り上がっている。今はその作家が書いた作品が中学生では人気で図書館においてあるほど。その作家こそが徹君。徹君自身は自分が描いた作品だとは木宮君と神谷君以外、誰も気づいてないと思っている。でも、私は知っている。昔も徹君は小説を書いていた。それを何回か読んだことがあり、それで徹君の作品だと気づいた。これが幼馴染の力。私は徹君のそういうところが好きだ。好きで好きでたまらなかった。でも、徹君の中には木宮君と神谷君しかいない。私が入るスペースはない。だから、私は少しでも徹君の中に入れるよう日々、頑張っている。このことを木宮君に相談したら木宮君が

「可能性は0じゃないな」

と言ってくれた。木宮君は本当に優しい。朝のSTのチャイムが鳴った。私は席に着いた。私の席からは徹君が見える。徹君は隣の女子から神谷君のほうに机を寄せた。担任の先生が来た。担任は国語担当で、徹君を気に入っている。国語の授業で作文を書くのだが、徹君の作文があまりにも綺麗だったため先生は気に入っている。徹君も担任の先生のことは普通に気に入ってそうだ。今日の時間割は、国語、理科Ⅱ、英語、技術、数学、Hだ。Hはこの前の中間テストで赤点をとった人の補修時間だ。それ以外の人は自習。私は自分の事が嫌いです。私は徹君が好きなのに、どこかで否定する私が嫌いだ。私は嘘ばかりついて、本当の事を話さなかったりする私は、大嫌いだ。多分徹君は私が素直じゃないから振り向くことすら、しないのかもしれない。放課後になって、

「神谷君、木宮君、今日一緒に帰れる?」

彼らと帰ることが出来たら、徹君と帰ることが出来るかもしれないから、彼らに聞いた。

「ごめん、俺まだ、補修が残ってるから一緒に帰れない」

「俺は帰りに、妹二人を幼稚園のお迎えと、そのまま買い物もしないといけないから、ダメかな」

残念だ。二人ともダメなら、徹君もダメかもしれない。第一、女子といることが出来ないからなぁ。私は一か八かで行ってみた。

「徹君は、今日一緒にかえ・・・

「却下、俺は女子が嫌いだ。それなのになぜ、女子と帰らないといけない」

私が全部話してから答えてほしかった。あと、さっきので世界中の女性を敵に回したよ徹君。断られても家が隣だから、必然的に一緒に帰ることになる。

私は徹君の後ろをずっと歩いてた。そして徹君が振り返った。私は少し期待した。

「ついてくるな。何か用があるなら、聞くだけ聞いてやる。何もしないけどな」

徹君は相変わらず冷たいなぁ。私はそう思って、

「別について行っているわけではないよ。ただ、家の方向が同じなだけだよ」

私はそう言いて、徹君の返事を聞いた。

「なら、俺の視界から消えろ」

「ひどっ。なんでそんなにひどいことを言うの」

私は徹君の言葉がすごく痛かったため、対抗した。徹君は少し私をにらんですぐに帰ろうとした。私は慌てて、徹君を呼び止めた、でも無視をしてきたから、私は腹が立って、徹君の腕を引っ張ってしまった。

—やばっ。

私が徹君の腕を話す前に

「触るな!」

と言って、腕を薙ぎ払った。私はその衝動で尻もちをついた。徹君は

「すまん、悪かった」

と言った。徹君は昔の徹君のままだった。優しいところは。


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