鬼人族
第23話 弱?ゴシゴシ、弱だ
森の中から現われたゴブリン三人衆を華麗な触手捌きで倒した最強スライムの俺。
『何言ってんっすか。もしかしてカッコいいと思ってんすか?』
ちょっとテンション上げていこうとしただけなんだから余計なチャチャいれるなよ。
さてゴブリンをあんでっと化してみようかな。
頭の悪そうなゴブリンだったけど流石にラットやコウモリよりもましだよな?
まぁ、ダメだったら処分すれば良い。
ゴブリンを俺の魔力で覆う。
「あんでっと化。」
ゴブリンを覆う魔力がゴブリンの中に流れ込む。
ゴブリンは両手で身体を起して片足ずつ地面を踏みしめ立ち上がる。
「ゴブゥゥ!!」
なぜか両手を高々と上げて叫び声を上げた。
「スライムさん、ゴブリンさんがまだ生きてるよ!」
「大丈夫、俺のスキルであんでっと化させただけだから、敵じゃないよ。」
ラノベだとアンデットってほぼ確実に嫌悪の象徴だけど大丈夫かな。
先にそこら辺を確認しておくべきだったわ。
「アンデットを作れるなんてスライムさんは高名な魔術師さんなんだね。」
アンデットは忌避される存在じゃないのか?
ゴブリンのアンデットも俺の知ってるゾンビみたいに内臓が見えてるわけでも肉が腐ってるわけでもないから見た目は普通のゴブリンと変わらんからかな。
「ゴブブ(メシ食う!)」
ただあんでっと化したゴブリンはあんでっと化したラットやコウモリよりもアホであることは分かった。
なぜならメシ食うと考えながら俺にいやユズに向かって襲い掛かってきてるから。
「スライムウィップ。」
「グブ。」
とりあえず天使に敵意を向けた時点で極刑は決まっていたのでサクっと殺しておく。
「どうやらゴブリンはアンデットに向かないみたいだ。」
「残念だったね。きっと次はうまくいくよ」
ありがとうユズ。その言葉だけで俺は頑張れる気がする。
『普通はアンデット化したら創造主に服従するはずっすよ。やっぱ旦那のスキルっていろいろ変っす。』
ケッ、そんなの分かってるよ。
触手にしろエッチな風魔法にしろあんでっと化にしろおかしな説明文が着いてるんだからな。
「はぁ、ゴブリンを仲間にするのは諦めて先に進むか。」
ユズを落とさないように細心の注意を払いながら再び森の奥へと進む。
もちろんゴブリンの死骸はスタッフが美味しく?いただきました。
なんか森に入ってから身体が軽くなった気がするけどなんでだ?
魔力量が増えたかな?
『そりゃ原因は旦那の魔力吸引っすよ。下水道よりも森の中のほうが空気中の魔力が多いっすから進化したのも合わさって以前より大量の魔力を吸収してるはずっすよ。』
つまりさらに成長速度が上がったってことだな。良い事だ。
せっかくだからステータスも確認。
ステータス!!
ステータス
名前 未設定
種族 エロエロマジックスライム(M気質)
魔力量 5000/2200
ランク F?
スキル
触手 ビジアンヌの寵愛 ヤス 魔力操作 魔力感知 スライムウィップ 多重魔力吸引 強打 スライムドリル エッチな風魔法(ウィンドカッター弱 ウィンドボム弱) あんでっと化
フムフム。
ほとんど魔物を倒して魔力を吸収してないのに身体強化に使われる魔力量が200もアップしている。
発動させた風魔法もきちんとステータスに反映されているな。
・・・弱?
(ゴシゴシ)
『意味ないっすよ、旦那に目はないっすから。それにステータスは目に見ているわけじゃないっすよ。ばっちり弱って表記されてるっすよ。』
いや分かってんだけど、認めたくなかったんだよ。
エッチな行動に補正効果があると説明があっただけなのになんで弱ってなるんだよ。
・・・もしかしてエッチな行動をしなかったら逆補正の効果が出るのか。
アレおかしいぞ、ヤスはなんで弱って表記されてんのが分かるんだ。
『そりゃオイラは旦那の案内人スキルっすよ。言わば旦那とは一心同体っすから旦那のステータスも見えるに決まってるじゃないっすか。』
いやそんな決まり知らんがな。
つまり俺がヤスにディスり材料を与えないために一生懸命隠していたスキルの内容も全部知ってるわけか。
ヤスに全部バレているのも知らずに必死で隠す様を見てを陰で笑っていたんですかねぇ。
ああ、ヤダヤダ。
その上ヤスと一心同体ってもう最悪ですわ。
『オイラも旦那みたいなエロエロマジックスライム(M気質)が主なんて可哀相っす。まさか使徒に選んだ魂がこんな種族になるとはさすがのビジアンヌ様でも予測できなかったんっすね。』
しかも俺の心の声を全部拾ってるしな。
ステータスを見れるのを暴露したからか遠慮なくステータス内容をディスってますね。
ヤスは空気だ。空気。
だめだヤスを空気扱いしたら空気に失礼だ。
なんと言っても空気は人間が生きていく上で不可欠な存在だ。
それなのに90%ディスりで出来たヤスと同列に扱うなんてとんでもないことだ。
ヤスにぴったりな物・・・世界中の90%が嫌悪しているゴキブリはどうだろう。
ゴキブリをペットにしている人の特集をテレビでやっていた。俺も頑張れば彼らのように・・・・無理だな。
ヤスをゴキブリと思ってもヤスにダメージがあっても俺はそれ以上にダメージを受ける。
自分の中にゴキブリがいるなんて耐えられない。
『旦那がオイラを苛めるっす。旦那なんてボッチになればいいんっす。』
「フッ、残念だな。俺にはすでにユズと言う天使がついている。」
ヤスの戯言に鼻で笑ってやったは。(注:スライムに鼻はありません。)
『なに言ってるんすか。村の問題が解決したらユズとはお別れっすよ。女の子を危険な旅に連れまわすなんてやっぱり旦那は鬼畜っすね。』
何言っているんだ。ユズはビジアンヌの神託を受けた言わば聖女だぞ。ストーリー的に俺と一緒に旅に出るだろ。
「ユズは俺と一緒に来るよな?」
「え!」
さっきまで楽しそうに俺の上で鼻歌を歌っていたユズが驚いた顔に変わる。
俺は察しましたよ。普通に考えれば当たり前だ。家族と別れてスライムと危険な旅にでるなんて有り得ないよな。
「・・・・悪かったヤス。」
『誠意が足りない気がするっすけどオイラは心が広いので許してあげるっす。』
グヌヌヌヌ。
いつかきっとヤス以外の仲間を見つけてやるぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます