第21話 確信めいた予感
「すっごーい!」
ライオン
緊急時用の螺旋階段を使って、屋外駐車場から降りてきたようだ。
「勝手に動くなってあれほど言っておいたのに――」
ま、終わった後だし、いいか。
「ユウトくんって本当に強いんだね!」
興奮気味のマナカの相手をしながら、俺はある種の確信を抱いていた。
2体の想念が連携して待ち伏せているなんてことは初めてのことだった。
マナカと出会ってすぐにこれだ。
間違いない、マナカは本人の意図に関わらず、周囲の状況に変化を与える何らかの力を持った存在だ。
それがいい方に転がるか、それともその逆なのかは分からない。
答えは神のみぞ知るといったところだ。
けれど、もうずっと変わらない日々の中で、完全に行き詰って打つ手なしだった俺にとって、変化それ自体が好ましいものであったのだ。
「きっとここから何かが変わっていくはずだ――」
そんな確信めいた予感を、俺は感じていたのだった。
「ん? ごめん、なにか言った?」
「いや、言ってないぞ」
「いや、言ったよー」
「言ってない」
「言ったってばー。もう、隠しごとイクない!」
「だからしてないっつってんだろ! ああもう、うっせぇな! ほら、今日はもう帰るぞ――」
「あ、露骨にごまかした! って――はわぁぁぁぁっっ!!!!」
問答無用とばかりに俺はマナカを抱きかかえると、夜の闇に溶け込むように走り出したのだった――。
その後、マナカを自宅まで送り届け、夜も更けてからようやっとの帰宅後。
言いつけられていた通り俺は正座をさせられると、マナカの胸を揉んだ件に関してクロにこれでもかと、みっちりとしぼられていた。
「大変申し訳ありませんでした。もう2度としません。とても反省しています」
「分かればよろしい。マナカにもちゃんと謝っていたし、今回は不問に付すけど、2度目はないからね?」
― To be continued.
これにて第一章「ボーイ・ミーツ・ガール」が終了となります。
懐かしい90年~00年代ごろのライトノベルの雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。
気に入っていただければ応援やコメント、評価などいただけましたら嬉しく思います。
続きも何卒よろしくお願いいたします(ぺこり
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