第103話 風俗のバイトの頃の女友達⑥

翔子はその後も定期的に店にやって来る。


「なんかさぁ、翔子ってホスト通いしているよな」


「通ってないわよ」


「いや、十分通っているでしょ」


「そんな恥ずかしい事、言わないで」


「恥ずかしい事か?」


「一緒の店の女の子に知れたら何を言われるか・・・」


「ふ~ん、何か言われるんだ」


(じゃ来なきゃいいじゃん)


「ホストイコールひもだからね」


「俺達って、イメージ悪いんだなあ」


「違うって言えるの?」


「違うよ、俺達は夢を売ってお金を貰っているのだ!ははは」


「冗談は顔だけにしなさいよ」


「はい、はい」


(相変わらず、むかつく女だ)


「最近、赤坂は私に店に来るなって言うのよ」


「ふ~ん、そうなんだ」


(そりゃ~言うだろ!)


「何故だかわかる?」


「ん?また変な話なら聞かないからな」


「うるさい、聞きなさいよ」


「はい、はい」


(どうせ、またくだらない話なんだろうなぁ)


「あのね」


「また赤坂さんの人に言えないような話なら聞かないよ」


「黙って聞きなさいって」


「わかったよ」


(強引な女)


「実は、赤坂が私と結婚したいから、お金使わないで貯めろって言うの」


「へ~」


(お~予想外の話)


「でね」


「ちょっと待って、そんな話を俺にしていいのか?」


「いいのよ」


「どうしてそんな話を俺に話すんだよ」


「昔からの付き合いだから」


「いや、そんな付き合いないじゃん」


「それでね」


「・・・・」


(聞いてねえし)


「田舎に一緒に帰ろうって言うのよ」


「いい話じゃん」


(まだ続くのか・・・あ~誰か席に来ないかな)


「どこが?どうせ口からでまかせよ」


「そうかなぁ」


「あのおやじ、あの歳とあの顔で私の前では赤ちゃん言葉だし」


「あ~またそれか・・・そんな話、聞きたくないよ」


(また・・・もしかして、いろんな場所で話をしてるのかな?)


「そんな人が結婚ってどう思う?」


「信じてあげれば?」


(俺も白々しい事を言ってるな)


「結婚詐欺に決まっているわよ。そう言って私からお金引っ張るつもりだって」


「そんな事ないって。そうやって決めつけるのもよくないよ」


「だからホストって嫌いなのよ」


「あのさ~友達として言うけど、自分の彼をひどく言うのは最低じゃない?」


「だって彼氏じゃないもん」


「そうなの?」


(自分から気に入ったって言ったくせに・・・)


その後も、聞きたくない話を次から次と人目も気にせず話す。

昔からの友達だからとはいえ、俺の上司にあたる先輩の話ばかりで耳を塞ぎたくなる。


(そっか、わかったぞ)


俺は、そういう口には出していけない事を平気でしゃべる性格、言葉使いが生理的に合わないのだろうと気付く。

求婚の話を聞いて以来、翔子と一緒にいる時の赤坂の顔を見ると妙にうれしそうな顔をしている様に感じる。


(赤坂さん、ほんとに翔子の

事が好きなんだなぁ)




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