第101話 風俗のバイトの頃の女友達④
酒の飲めない赤坂が、めずらしく営業中に酔ってつぶれてしまう。
「遼、ちょっといいか」
赤坂専属ヘルプの城に呼ばれる。
「はい、何ですか?」
「赤坂さん、酔いつぶれて歩けない状態なんだ」
「あらら・・・」
(めずらしい)
「俺、客がいるから赤坂さんの世話できないんだよ」
城は困った顔をしている。
「赤坂さんのお客は?」
「みんな帰した」
「そうですか」
「だから面倒見てくれよ」
「はい、いいっすよ」
(何で俺?)
「赤坂さんが、あんなに飲むのめずらしいんだよ」
「そうですね。何かあったのですかね~」
「さあ~な~」
「原因わからずか・・・」
「それで家まで送ってくれるか?」
「はい、いいですけど俺、家の場所知らないですよ」
「近くまで行ったら、場所を聞いてくれよ」
「はい。でも大丈夫かな」
(まじかよ~あの状態じゃ無理だろ)
俺達は、赤坂を二人がかりでタクシーに乗せる。
「運転手さん、川崎駅前まで」
城が運転手に行き先を告げる。
(川崎?えらく遠いな)
「後は、近くになったら本人に聞いてくれ」
「赤坂さん大丈夫ですか?」
「大丈夫だろう、じゃ駅のそばだから頼むな」
「はい」
赤坂は呼吸も荒く酔いつぶれた状態。
(降りる時、俺一人で降ろせるんだろうか?)
タクシーは高速を降りて川崎の駅に近づく。
「お客さんもうすぐ川崎駅ですよ」
「ちょっと待って、本人に聞くので、とりあえず駅まで行って」
「はい」
(ん?まてよ、川崎ってもしかすると・・・)
「赤坂さん、川崎に着きましたよ」
「あ・・・おう、ここはどこだ?」
赤坂は、薄目を開けて周りを見渡す。
(お~起きた)
しばらく辺りを見渡し考えてる様子。
「あ、そこ左に行って一つ目の信号の所で止めてくれ」
車が信号の所で止まる。
「赤坂さん、ここでいいすか?」
「おう・・降りる」
「頭ぶつけないように気をつけて下さい」
「ほら、金」
赤坂は、財布から金を出し投げるように渡す。
「運転手さん、ごめんね~お釣りはいらないから」
「ありがとうございます」
タクシーが去り、二人で路上に取り残された状態。
赤坂は、立ったままフラフラしている。
「赤坂さん、うちどこですか?」
「ここ」
「ここ?目の前じゃん」
赤坂は、オートロックの部屋番号を押す。
「は~い」
女の声。
(ん?この声は、もしかして・・・)
「俺だ」
ロビーの入り口のドアが開く。
「11階ですよね?」
「ああ」
「最上階かぁ」
(風俗の子ってみんな高いとこが好きなのかな?)
俺は、さっき赤坂が押した部屋の番号が1101だったのを見ていた。
俺は、赤坂を腕で支えながら一緒にエレベーターに乗る。
そして部屋の前に着く。
(さっきの声・・・翔子だよな。だから川崎か。そかそか)
部屋のドアが開く。
「おかえり~」
部屋着で翔子が出てくる。
(やっぱりな)
「あれ?遼・・君?」
「よっ!」
「城から電話もらったけど、あなたが送ってきてくれたんだ」
「そ・・・」
「ふ~ん」
何やら言いたそうな顔。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます