第100話 風俗のバイトの頃の女友達③
翔子はすごく冷めた女で、ホストは絶対嫌いだと昔から言っていた。
(ホストクラブに行くのは、今回一回きりだって言っていたのになあ)
「女心は、相変わらずわからないな」
俺は、赤坂に話すのはためらいながらも仕方なく話す。
「俺?」
「はい、赤坂さんが気に入ったそうです」
「へ~めずらしいな。あの子いくつだっけ?」
「確か23,4だと思います」
「俺の子供でもおかしくない歳だな」
「歳は関係ないですよ」
(うれしそうな顔してる)
笑いそうになるがこらえる。
「ほんとに俺でいいのか?」
「はい・・・多分」
翔子は、小さい頃に親の離婚で父親がいなかったからファザコンだと、自分で話していた。
そんな理由からか赤坂に惹かれたのかもしれない。
「あとはお任せしよっと」
(赤坂さんの商売のやり方は、俺にはわからないからな・・・)
「翔子があまり入れ込まなければいいけど」
(こんな事を思うようでは、俺もまだまだホストに徹していないのかもな)
翔子と一緒に来た友人は不発に終わる。
(あまり楽しめなかったのかな?)
誰も連絡場所を聞くことができなかったようだ。
しかし・・・俺の知らないところで事は進んでいた。
「遼、翔子ちゃんと一緒に来た女覚えているか?」
相原がいきなり話しかけてくる。
「あ・・はい。誰も引っぱれなかった子ですよね?」
「何か、城とくっついてるみたいだぞ」
「へ~、いつのまに・・・」
(おかしいな・・・)
「城は、赤坂さんの直属のヘルプだからな」
「あ~そっか」
「翔子ちゃんに、うまく取り持ってもらったんだろうな」
「でも店に来ていないですよね?」
「城は、生活の基盤の女がいなかったから・・・」
「え?それって・・・」
「これだけ言えばわかるだろ?」
「一緒に住んでいるんですか?」
「そう」
「へ~また早いというか・・・驚いたな」
(なんか・・・やな感じ)
俺の紹介から始まったのに知らない所で事が進み面白くない。
「別に悪い事じゃないんだから話してくれてもいいのになあ」
「あそこは、同じグループ内なのに秘密主義だからな」
「そうなんですか?」
「まあ、お互い様だよ」
「・・・・」
(仲間だと思っていたのになあ)
ホストは自分の売り上げで生活できるのもわずか一部。
女と一緒に住むホストが多い。
生活が安定していれば商売も思いっきりできるという風潮がある。
(城さん本命いなかったんだ)
「相原さんの本命は・・・」
本人を目の前に聞きかけたが聞くのをやめる。
「何だ?」
「いや、何でもないっす」
(この人は、俺にも話さないだろう)
ホスト同士は、どこから話が漏れるかわからないから、めったにプライベートは話さない。
「遼、一緒に住む女は、嫉妬深くない女じゃないと無理だぞ」
「そうですよね」
「お前は失敗してばかりだよな」
「見る目がないんでしょうね」
「余裕がないんだよ」
「苦労してます」
「アリスも風来坊みたいな女だし」
「あれは、いつフッと消えるかわからないような女ですから住むのは無理ですね」
(ほんと明日にでも、あいつはいなくなりそうだ)
「あの俺達のホスト部屋は、重要な役目果たしているのわかるだろ?」
「そうですね~いろんな意味で役に立っています」
俺は、女の部屋に通っても、拠点はホスト部屋にしようと決意している。
一緒に住むということになっても自分の荷物は持っていかないことにする。
(半同棲みたいな形が一番いいんだろうな)
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