第48話 親友の死①

なぎさは、二人で生きていくと決めて以来、店に来ないで働いたお金をすべて貯めている。

なぎさは、真樹の仕事が終わる時間に待ち合わせをして、24時間スーパーで買い物をしてから二人で仲良く帰る。


「おまたせ」


「今日は何を食べたい?」


「買い物しながら考えようよ」


「そうね」


二人でスーパーの中をウロウロしながら食材を選んでる。

幸せを絵に書いた様な二人。

買い物を終えて自宅に戻ろうと店を出る。

タクシーを拾う為に大通りに向かう。

早朝の静かな歌舞伎町の中に騒ついた声が聞こえてくる。


「何だろ?騒がしいな」


道路の先に人が走り去るもの避ける者が見える。

二人は、何事か分からず前に歩いて行く。

突然、上半身裸の男が二人の前に立ちふさがる。

よくみると体には刺青。


「なんだよこいつ?あぶねえ奴だな」


真樹は、タチの悪い酔っ払いだと思い、道路の端に寄り男の横を通り過ぎようとする。

手を繋いでいたなぎさの手が離れる。

真樹は後ろを振り返りなぎさに向かって声をかける。


「どうした?早くこっち来いよ」


なぎさは、立ち止まって震えている。


「どうした?早く行こうぜ」


「真樹、こいつよ」


「なんだよ。こいつって?」


あいつとは、例の付きまとわれていた男。


「いいから早く行こうぜ」


真樹がなぎさを呼んだ瞬間、あたりに乾いた銃声の音が響く。


「パーン」


真樹はその場にうずくまる。

こめかみに一発、即死だった。

男は、逃げ去る。


なぎさは恐怖と驚きで言葉もでなかった。

しばらくして町中に響きわたるような叫び声で叫ぶ。


「いやぁぁぁーー!!」


その後は救急車とパトカーのサイレンで辺りは騒然とする。


真樹は、田舎に帰る事はできた。


一樹として。


小さな箱の中に入って。

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