第14話;森の天使「ヘンゼルとグレーテル」

廃村の山村から港町までの出来事も話した


「町や村が近くになくて野営が必要なんだ、不便かけるけどごめんね」

フェルディナンドがそう言ってきた


「簡易ハウスがあるので大丈夫ですよ」

「?簡易ハウス?」

私は馬車から降りると、野営の準備をしている護衛達をさけて野営地の端に向かって行った

兵士や侍女達が何事か、という顔をしている


「この辺でいいかな・・えいっ」

アイテムボックスから、簡易ハウスを出した


「「「なっ・・・家?」」」

フェルディナンドや周りの人間たちが驚きの声を出した


「町や村に寄ると見つかると思って、簡易ハウスで寝泊りをしてました」

「小さい家、だがこれを入れることの出来るアイテムボックスって・・・すごい」

「あーでも、せいぜい4人ほどしか寝れません、ツインの部屋が二部屋とバスルームとリビングダイニングキッチンがあるだけなので」


山村から降りてのプレハブ生活、徐々に改装も重ねて箱型ワンルームだったのが、今では瓦屋根の2dkのこじんまりした家になっている、ソファも手作り、ウォークキングの革を使った革張りのソファだ、皮をなめすの大変だったなぁ、矢を跳ね返す頑丈な皮膚、柔らかく滑らかにするの大変だった


「普通の庶民の家にしか見えないが」

「どうぞ、中へ」

そう言ってフェルディナンドと護衛2人と侍女2人を案内した


「すみません、此処で靴を脱いでください」

「靴を脱ぐ?」

「大丈夫ですよ、この家の周りには結界が張ってありますので、魔物や盗賊は入れませんのでくつろげますから」

私はさっと靴をぬぐと靴箱に入れてスリッパをはいた


「そこのいすに座って脱いでくださいな」

軍用靴はさっと脱ぐことはできないので、そう言って護衛の人にいすを勧めた

侍女達も編み上げブーツをはいていたので、椅子に座って脱いでもらった


玄関から入って直ぐに広めのダイニングと右にキッチン

左にバスルームとトイレで、奥に扉が二つで寝室になっている


靴を脱いでスリッパをはいた護衛たちが入ってきた


「どうぞお座りくださいな」

ソファとダイニングテーブルに座ってもらい、お茶を入れようとキッチンに向かった


「愛し子様、私が」

そう侍女の一人が言ったが


「使い勝手が違うから、大丈夫よ私が入れるわ、あなたも座って」

「いえ・・・私は」

「座って」

「びくっ」

ちょっと威圧をこめてしまった


ソファの方から

「座りなさい」

とフェルディナンドが言うと侍女2人はダイニングに座った、とても居心地が悪そうだった


私はカップに紅茶を注ぐ

ソファの長いすに脚を組んで座るフェルディナンドと、その前に座る護衛二人の前には3個おそろいのティカップを置いた、侍女達にはばらばらの入れ物に入れた紅茶を運んだ


「ごめんなさい、そろっているティカップが3こしか無くて」

中にはとっての無い、湯飲みタイプもあるので申し訳ないなと思いながら出した


「ダイニングの椅子も3脚・・・だれかこの家に入れたんですか」

「えぇ・・・まぁ」

皿にアイテムボックスからクッキーを出しててダイニングとソファのテーブルにだした

ダイニングに座ろうとしたら、フェルディナンドがぽんぽんと長いすを叩くので、自分の紅茶を持って、フェルディナンドの横に座った


「あの子達は森に置き去りにされていたの・・・・」







「ヘンゼルとグレーテル」

あるところに、ヘンゼルとグレーテルという兄妹がいました。家は貧しく、木こりをしている父と継母と暮らしています。継母が口減らしのために2人を森に捨てることを提案します。父親はためらいますが、継母に押し切られる形で了承してしまいました。


その会話を聞いていたヘンゼルはある作戦を思いつき、石を集めに出かけます。


次の日、両親に森の奥へ連れて行かれる道すがら、ヘンゼルは集めた石を落としながら進みました。そのまま置き去りにされてしまいますが、彼が落としたのは夜になると光る石。その明かりを頼りに、家に帰ることができました。


2人の姿を見て父親は喜んでくれるものの、再び森に連れて行かれることになります。しかも今度は家の扉に鍵をかけられてしまったので、外に石を集めにいくことができませんでした。


ヘンゼルは食事に出たパンを食べずにとっておき、再び森の奥へと連れて行かれる道中で、細かくちぎって落とします。しかしパンくずは鳥に食べられてしまい、2人は今度こそ家に帰ることができなくなってしまいました。


ヘンゼルとグレーテルが森をさまよっていると、森の中でお菓子でできた家を見つけます。お腹のすいていた2人が夢中でかじりついていると、中から老婆が現れました。2人を家の中に招き入れ、食事や寝床を与えてくれます。


助かったと思ったのも束の間、翌朝になると老婆はヘンゼルを小屋へ閉じ込め、グレーテルに「お前の兄さんを太らせて食べるから、そのための食事を作れ」と命じました。


それから数日が経ち、目の悪い魔女はヘンゼルの指を触って太り具合を確認しますが、いっこうに太る様子がありません。実はヘンゼルは、指の代わりに食事の際に残った骨を差し出していました。不思議に思っていた老婆ですが、ついに痺れを切らし「お前の兄さんを煮るための鍋を用意しろ」とグレーテルに命じます。


かまどの火の温度を見ろと言われたグレーテル。老婆が自分も焼き殺すのではないかと思い、「やり方がわからない」と答えました。老婆が手本を見せるためにかまどに近寄り「こうするんだよ」と頭を突っ込んだその瞬間、グレーテルは力を振り絞り、老婆を熱したかまどの中に突き飛ばして閉じ込めてしまいました。


呪いの声を上げながら焼け死ぬ老婆。グレーテルはその後ヘンゼルを助け出し、老婆の財宝を持って家に帰ります。2人を疎んでいた継母は病気で亡くなっていて、それからは父親と3人で幸せに暮らしました。







あの話って残酷な話しだなぁって思ってたのよね

目の前にその話の名前と同じ兄妹が現れた時は、口をあけたまま固まっちゃったなぁ



こんこん

ドアを叩く音に眠っていた私はすぐ覚醒したが不思議に思った

魔獣も盗賊も結界の中に入れない、悪意の無い者しか入れない、けど此処は人里はなれた森の中だ、レイスなどのアンデット系の魔獣にはたまに悪意の無い、いたずら好きな者もいるので、おそるそそる気配を探ったら、どうも人間の子供のようだった


「どちら様ですか」

「夜分遅くにすみません、道に迷いました、一晩泊めてもらえませんか」

男の子の声がした、邪悪な感じは一切しなかった、むしろ・・・


ドアを開けると、背中に小さい女子を背負った6歳か7歳くらいの男の子が居た

汚れたみすぼらしい服を着ていた、革の靴は擦り切れて指が出ていた


「・・・・とりあえず入りなさい」

「ほっ・・おじゃまします」

そう言って玄関に入ったとたん男の子は意識を失った


魔法で受け止めた私は洗浄と殺菌の魔法を使って二人を綺麗にすると空いている部屋に寝かせた


「出来たばかりの部屋が早速役に立つなんて・・・分けありかな~厄介ごとじゃなければいいけど」

ツインの部屋だが、女の子が男の子の服をつかんでいたので、ひとつのベットに二人寝かせた

玄関に脱がせた靴が見える


「皮の袋に、厚手の皮を靴底として手縫いした靴か・・・町では貧しい子ははだしの子が多かったな」

私は木の素材を出して、ぼろぼろの皮の靴より大きめの靴底を作り、皮を切断して縫いつけていき、二人の新しい革靴を作った


「ちょっと縫い目が不ぞろいだけど、職人じゃないんだからいいよね」

可愛い靴を眺めて自己満足していた


「そうだ、椅子も無いな」

ダイニングチェアは2脚、1脚には手作りの大きめのテディベアが置いてある

寂しいとかじゃないよ、女神様ともお話できるし、常にじゃないけど・・・・殺風景だからさ・・・

2脚と同じ様な椅子をもうひとつ作った


そうして徹夜で作業をした私だった


朝食を用意していると


「うえぇーん、ここ何処~」

女の子の泣き声が聞こえてきた


「お父さん~」

普通そこはお母さんじゃぁないんかい、と思った


「ますます厄介ごとかな?」

ため息を吐きながら、そう推測する私


こんこん

部屋をノックした

「大丈夫だ、お兄ちゃんがついてる」

慰めている声がする


「朝ごはん出来たよ、出てきて食べなさい」

「はっはいっ」

ドアが開いた

男の子は私を見上げてぽーとしていた、女の子は真っ赤な目と鼻をして男の子の後ろに隠れるように立っていた


「天使?キラキラだぁ」

ぼそっと女の子が言った

「ん?何か言った?・・さっ朝ごはん食べよ、そして事情聞かせてくれるかな」

二人をダイニングテーブルに案内した


二人は、ベーコンとスクランブルエッグ、トマトの乗った皿と柔らかそうなパン、そしていい匂いのするスープを見て目を輝かせた


「たっ食べていいの?」

男の子はよだれをたらしながら聞いてきた


「どうぞどうぞ、パンとスープはおかわりあるのでゆっくり食べなさい」

女の子の方は、男の子より多目のよだれで前がびちょびちょになってる

お兄ちゃんの方と料理の皿を何度も見ていた


「食べよう」

そう言うと女子はパンを取ってかじった

二人はうれしそうに、そして男の子は涙を流しながら、うまいうまいと言いながら食べていた


女の子のトマトとベーコンの油で汚れた口を暖かい濡れタオルで拭いて

服は洗浄の魔法でまた洗ってあげた、二人の魔法を使ったときのぽかんとした顔が可愛かった


「すごいすごい、キラキラお姉さん、すごいすごい」

女の子は興奮して、はしゃいでいた


「改めて、泊めて頂き、朝食までいただいてありがとうございます」

そう頭をさげる男の子

女の子は、ソファにあったテディベアを発見して遊びだした


「ここに来た経緯を聞いていいかな?」

「はい、僕はヘンゼルといいます。妹はグレーテル、近くの村の外れに住む木こりの家の子です」

固まった・・・私は固まった・・・まんまじゃん!

そして話も、途中までは物語と一緒だった


1回目に父親に置き去りにされたときは物語のように光る石を落として目印にして帰ったが、2回目の今回は落としていったパンはカビだらけだったので鳥たちも食べないと思ったが、食べられたと悔しがっていた、そして今回はさらに前よりも遠くに置き去りにされたらしい、さ迷ううち変な家を見つけたそうだった、

この家ではない・・・そうお菓子の家・・・

物語と違うのは、彼ら兄弟はその家に近づかなかったことだった


「お腹がかなり空いていたけど、それが幻影だってすぐに分かった、幻影を見せて人を食らう魔獣の話を聞いていたから、この森は強い魔獣は居ないけど、そういう精神に係る魔法を使うのがいるんです」

「キラキラがね、行っちゃだめって言うの」

テディベアと戯れながらグレーテルが言った


「キラキラ?」

「お姉さんの周りに一杯いる奇麗なの」

「えーと」

「精霊です、お姉さんの周り精霊がたくさんいます、天使なら当たり前でしょうが、異常なくらいいます」

私は、きょろきょろするが一向に見えない


「精霊視のスキルが無いと見えません」

「キラキラお姉ちゃんの周りのは人の形してるのもいるね」

「天使様なら当然でしょうが、上位精霊見るの初めてです、すごいです」

「えーと天使様って」

「その美しさと上位精霊に囲まれている、天使様でしょう?」

ヘンゼルは拝むようにキラキラした目で私を見た


「ごめんなさい、一応人間です・・・まぁ、魔力は人並み以上に多いから、寄って来るのならそのせいじゃない?それで、その呼び方変だから、アイラって呼んで」

「あっ、精霊が名前を聞いて喜んでる」


「?喜ぶ?なぜ・・・・・しかし、小さいのにしっかりしてるね」

「・・・・僕こう見えて11歳です」

「えっ・・・ごめんなさい」

「いえ、栄養不足で成長が遅いのは自覚してますから、妹は見た目通り5歳です」

7歳くらいかと思った、さんざん子供に見られて嫌な思いしている私が、それを言うなんて恥ずかしいわ


「精霊たちは家には案内してくれないの?」

「・・・してくれません、むしろ行くなと言います、自力で帰るしかなかったんです」

「キラキラは家に帰ると消えちゃうの」

「消える?なぜ」

「わかりません、家に近づくといなくなってしまうんで、言うこと聞かないので嫌われたかとも思いましたが、家から離れるとまた現れるんです」

「明らかに、家に問題があるじゃない・・・」

「ははが・・・継母が来てからなのは確かです」

二人はしゅんとした



父親は男爵家の5男で成人すると直ぐに冒険者になったそうだ

冒険者の時に母親と知り合い一緒のパーティで行動を共にしていて、その後結婚

ある程度の資産ができたので冒険者を引退して木こりに、でも木こりでは殆ど収入が無く、貯金を切り崩して生活していた、そんな時母親が病気になり薬代で貯金はなくなってしまった、グレーテルが3歳の時に母親は亡くなったそうだ


「私、少し覚えてるの、お母さんが私の頬を撫でてくれたこと」

「精霊が、グレーテルが少しでも覚えていられる年齢になるまで生かしてくれているのだと母は言ってました」

「お父さん、おかしくなったの」

「おかしくなった?」

「母が亡くなった後、ずっと泣き暮らしていた父が、久しぶりに木こりの仕事をしに行って帰ってきたら女の人を連れて帰ってきて、今日から母親だって・・・」


「叩くの、ごはんくれないし、服も洗ってくれない」

「それから見えていた精霊が消えたんです、僕たちを捨てるように言い出したのもあの女で・・・」

「微妙に私の時と状況が似ているような・・・」

「それでも、父は優しかった、かわいがってくれていたと思う」


「置き去りにされた時点でおかしいでしょ・・・」

「何かと葛藤しているようでした、、無表情なのに涙を流していました」

「洗脳・・・精神の魔法か・・・魔獣か悪魔か心のひん曲がった魔術師か」

「でも・・・継母は普通の人間にしか見えませんでした、僕も疑ったんですが・・・魔術も簡単な生活魔法程度で・・・精神を操るような高等魔法が使えるようには見えませんでした」


「置き去りにされてパンくずを見つられなくなって途方に暮れていた時、精霊がこっちにこいって」

「ついていくことにしたの、今度はキラキラの言う通りにしようって、おにいちゃんが」

「精霊たちが弱い魔獣は追い払ってくれたのでどうにか森の中を歩いてこれました、でもいくら歩いても森森森・・・途方に暮れて足も限界で・・・そこにこの家を見つけたんです」


「それで、貴方たちはこれからどうしたい?、乗りかかった船、助力は惜しまないよ」

「お父さんを助けたい、また笑いあって暮らしたい、アイラおねえちゃん助けてくださいお願いします」

「助ける、お父さん苦しんでる」

二人は決心したような顔をしていた


「そうだね、助けようじゃぁ準備だ」

私はそう言うと、二人にお風呂に入るよう言った、魔法で綺麗にしてもお風呂に使ったときの精神の回復は、それに優るものは無いので、行動を起こす前の前準備とし入るよう促した


お風呂の使い方を説明して、新しく縫った服を渡した

目を輝かせて喜んでいた、デザインは着ていたものと殆ど同じなのにその喜びようは、飛んで跳ねてすごかった、どれだけ同じものをずっと着ていたのだろう


お風呂から上がった二人とソファにすわり、どう行動するか相談した

とりあえず、怪しいお菓子の家を調べようという話になった、精霊が居なくなった家の状況と似ていたので、なにか分かるのでは、と思ったからだ


調査の後、精霊の泉に行くことになった、なにかやたらと来て欲しいと精霊にせがまれているらしい、

人はめったに行くことが出来ないらしい、二人は良く行ってたらしいが、とても綺麗な泉らしい

話をヘンゼルとしていたら、見るとグレーテルはお風呂上りで気持ちよかったのだろう、テディベアにくるまって寝ていた


ヘンゼルに、私は冒険者で駆け出しだがそこそこ強いと言う話をしたら、自分も何か戦える力を身につけたいと言い出した


「そうだね、戦える方法を何か持っていたほうがいいよね、何か出来ることある?」

「一応、ジョブは【槍術師】です、火と土の魔法に適正があるといわれました」

「何か訓練は?」

「父に少し、父は槍はあまり得意じゃないらしく、身についた感じはありません」

「外に出てやって見ようか」

そう言って外に出ようと玄関に行くと自分のぼろぼろの靴が無いことに気がついた


「その青い紐の靴がヘンゼルのよ」

「こっこれが・・・やはり天使さまでしょう・・・いや神様です・・・」

キラキラな目をして靴を抱きしめていた


外に出たヘンゼルは細く切った棒を手に練習を始めた

なかなか、すじが良かった、ジョブとは伊達じゃない

しばらく、訓練していたら、玄関からグレーテルがはだしで出てきた


「何してるの」

皆が居なくてびっくりして泣いていたのだろう、赤い目をしていた


「訓練よ、グレーテル玄関の赤い紐の靴があったでしょう?それ履いてきなさい」

私がそう言うと


「・・・あの靴私の?」

「そうよ、紐の色が気に入らなければ変えるけど」

ぶんぶんと首をふると、玄関にもどった

しばらくして履いて出てきたグレーテル、手伝わなくてもちゃんと履けたようだった、縦結びだけど

グレーテルは足を鳴らして、くるくると回って靴の感じを楽しんでいた


「グレーテル、あまり近づくなよ、危ないから」

そうヘンゼルが言うと


「私もやりたい」

そう言い出した


「えーと」

ちょっと私が困った顔をしていると


「グレーテルは、【弓術師】のジョブでした、水と風に適正があるそうです」

「そっか、5歳だからジョブは貰っているんだ」

「グレーテルにも指導お願いできませんか」

「でも・・5歳でしょう」

「僕も、ジョブ判定を受けてから直ぐに訓練は始めました、グレーテルは父があの状態でしたので訓練は始めていませんが」

「・・・そうね、分かったわ小さい弓を作るわね」

簡単な弓を作ると、グレーテルに渡した



「・・・・5歳なのか・・・上手すぎない?」

コツを教えたら、さっさと弓術覚えて、さらに100発100中になっていた


(あら、面白い子達を弟子にしているのね)

女神様、久しぶりですね、面白いとか弟子とか何の事?

(スキル増えてるわよ、【師匠】の)

師匠って・・・それで弟子?

面白い子って言うのは?

(精霊の愛し子、綺麗な心の子たちなのね)

そもそも精霊って何なの

(草木、動物、人、無生物、人工物などひとつひとつに宿っている、超自然的な存在ね、たまに人型に見えるものも居るけど、精霊自体見える人間は少ないわね)

私の周りに沢山居るらしいけど見えないし、なんで私の周りにいるのやら

(清らかな魔力を力の根源にしているので、それで寄ってくるんじゃない?見えないほうがいいわよ、まぶしすぎて大変だから)

・・見えなくていいわ・・



しばらく訓練していた、二人の成長はすさまじく本当に子供かって言うぐらいに成っていた

武器に魔法付与までしだして、威力が中堅冒険者並みになっている


(ああ・・・貴方の加護がついちゃったわね)

へ・・・加護

(女神の愛し子の加護だからね、あなたの加護がつくと、大幅に脳力が増すのよ)

えっとまずい?

(この世界じゃぁ、力があるに越したことは無いけど、やりすぎかな?)

どうしよう

(大丈夫よ、これからこの子達はもう貧困に苦しむことはなくなるわ、魔獣をかれれば素材と魔石で稼げるしね)

そっか・・・結果オーライってことで・・・


昼食の後二人は訓練を続けた

私は二人の武器を作成している


(・・・さすか、想像力豊かな世界から来ただけあるわね)

槍は成長しても使えるように、長さ太さ自由自在魔力を流すことで調整可能、自動研磨と壊れない魔法付与つき、本人の血筋以外使用出来ないようにして、本数は10本

(10本?も)

投げたら武器が無くなるので多めに、競技に槍投げがあるんだから、本来槍って突くだけじゃなくて投げるもありなのかと思ったのよね、それと、短剣とショートソード、解体用と予備武器ね


(弓も・・・またすごいのを)

矢のいらない弓ね、魔法付与が出来るんだから、矢も魔法で作れる様にした、グレーテルは魔力結構多いので大丈夫、最大12本の水の矢が同時に発射できる、制御は難しいけど、まだ5歳だし訓練次第で物になるでしょう

それとヘンゼルと同じく短剣とショートソード、解体用と予備武器ね、グレーテルはさすがにしばらく使うことは無いと思うけど

(それは、マジックバック)

武器を持って歩くには、槍は多いし重いし、弓は大きいし邪魔だし、二人には武器が多すぎるので、作って見た

女神のため息が聞こえた気がした


次の日、私たちは行動を起こした

二人の指には、防御魔法を施した指輪がある、防具は見た目に子供には野暮ったくてい私がいやだったので、魔道具にした


二人は、お菓子の家の場所を覚えていないので、お菓子の家へは精霊に案内してもらった

木の陰からお菓子の家を観察する


「あれがお菓子の家に見えるの?」

「はい、お菓子の家に見えます、壁はクッキー、ドアはチョコレートに見えます」

「美味しそう~おにいちゃん、あれ食べれるのかな」

「・・・私には。普通の 掘っ建て小屋にしか見えないのよね」

あっ、思い立って二人の指輪に手をかざして防御魔法に新たに(精神攻撃)に対する防御も加えた


「ああ・・・お菓子が・・消えた」

「・・・お菓子・・・」

二人はかなり落ち込んでいた


「帰ったら、お菓子作ってあげるから」

「「本当、やった」」


「誰か居るわね」

私は手のひらに蜘蛛を乗せた


「「ひっ、きゃ」」

と二人の悲鳴が聞こえた


「大丈夫よ子の子は私の友達、悪いことしないから」

それでも二人は青い顔をして震えている

まあ、即死レベルの猛毒持ちだからね・・・ははは

かまれても、毒耐性MAX持ちの私には効かない、かびたパンや、食べれないかと雑草を食べていたから、雑草に毒草が含まれていたらしく耐性がついた、女神様に良く生きてたねって言われたわ


「この子に偵察してもらって来るから」

そう言って蜘蛛をはなした


小屋の中には、いかにも魔女って老婆がいた

遅い遅いとぶつぶつ言っている、明らかに二人を待っていたのだろう

小屋の中は、木こりの休憩所なのだろう、暖炉に鍋、壁にはさびた斧やロープがかかっており、おくには藁が積んであった、ここで寝泊りも出来そうで暖炉の前には小さいテーブルが、そこに魔女が座っていた



「貴方たちに囮になってもらう」

そう言うと二人はさらに蒼白に


「あっ違う違う、貴方たちに似せた人形よ囮は」

私は二人そっくりの土人形の人形を出した

二人が着ていたぼろぼろの服と靴を履いている


「昨日練習したの覚えてる?」

「人形遊びのこと?」

「そう、人形が喋っている様に、アフレコって言うんだけど、よろしくね」


自分の声を変えて喋ることは出来るけど、一人しか出来ないし、人形を操りながら声を変えてって難しいのよね

で、二人に声だけ出してもらおうと昨日の夜、練習した


人形は小屋の前に行くと、ドアを叩く

「誰か居ませんか」

ヘンゼルが棒読みで声をかける

ドアノブをまわすと開いているので二人は小屋の中に入った

机の上には美味しそうなお菓子がお皿に乗っていた

「お兄ちゃん、お菓子だよ食べていい?お腹すいた」

これも上手だが部読みでグレーテルが言う

バタンと開いていたドアが閉まる

「なんだ?」

「おにいちゃん怖い」

言い方がちょっと様になってきた


『ひっひっひっ美味しそうな子供たちだ、おお、大好物の恐怖・・・?恐怖が感じられない?』

戸惑う魔女

『何だ、お前たち』

そう言ってヘンゼルの腕をつかんだ、そのとたんヘンゼルの腕が変形して魔女をぐるぐるにつかんだ


『なぜ・・・人形?』

ギリギリと締めつけるヘンゼル人形

『なめるな!』

そう言うと締め付けていた物を力づくで壊して、ドアを壊して外に出てきた

『グレーテルを人質に』

グレーテルの人形に近づく魔女、ヘンゼルが人形と気がついた時点でなぜグレーテルは本物と思ったのか、グレーテルの人形に串刺しにされそうになっていた


『何なんだ、二人とも人形兵器か』

その時森から浄化魔法が放たれた、まともに浴びた魔女


「「お継母さん・・・」」

想像してたけと案の定、魔女は継母だった

浄化魔法を浴びた継母は術が解除されて人間の姿になっていた

かなり苦しそうだった

『何者・・・私の獲物を返せ・・・もう直ぐ上級悪魔になれそうなのに』

悪魔・・・また悪魔・・・


「はぁ~・・・子供たちを食らうつもりだったの?」

『私の獲物返せ・・・ぐぉお~』

継母の背中から黒い煙が

『子供・・食う』

「それしかないわけ?前に会った悪魔のほうが流暢だったなぁ」

『まさか、兄者の気配が消えたのは』

「あら。兄妹だったの、あの闇袋」

『兄者は・・』

「消えたねぇ」

『おのれ、最後の悪魔だった我々の夢を、世界を闇に包む目的が』

「そんなこと考えてたの?・・・無理じゃ無いかな・・・私がいるから」

『お前・・・浄化魔法・・聖女か!たかが聖女風情が、攻撃魔法も使えぬ癖に』

「攻撃されてるじゃない・私の作った人形に」

「・・・お前が作った?」

人形を見つめる、悪魔


「ついでに、私<聖女>じゃなくて、<女神の愛し子>だから」

剣を出すと光魔法と闇魔法を剣に這わせる


『<女神の愛し子>?なんてこと・・・やめろ・・・やめろ』

闇を広げ攻撃をしてくる悪魔、剣でそれをはじくと剣を振り下ろす


『ギャー』

悪魔は光と闇に包まれて、黒い煙は消えた

残されたのは、干からびて死に掛けている女性だった

魔法で癒すと、女性は目を覚ました、悪魔に寄生されていた時の記憶は一切無かった

女性は一命は取り留めたが動くことが出来ないので、小屋で休んでもらって私たちは精霊が言っていた泉に向かった



霧の向こうに綺麗な泉が現れた

「誰か居るわね」


(精霊王よ)

王様?私にも見える

(見せてるのよ、精霊王じゃないとできないけど)


『<女神の愛し子>様、私は精霊の王セラフィーヌと申します』

「女の人の名前みたい」

「女の人でしょう?」

そう言ったのはグレーテルだった


「生んでくれたお母さんに似てる気がする」

「うん、お母さんに似てる」

「・・・男性に見える・・・王子に似てる気がする」

「?王子?」


『私には性別も特に決まった姿もありません、あなた方が愛しいと思う存在に似た姿になるようです』

それはちょっと恥ずかしいかも


「おっほん・・・私を呼んだ理由は?」

『申し訳ありません、悪魔が森に侵入して、精霊たちの活動に問題が起きたので対処願えないかと思ったのですが』

「倒したね、解決したね・・・ん?・・なんか澱んでない」

『悪魔の残滓ですね、これくらいなら数年もすれば無くなる・・・」

ぴかっと浄化魔法を放った


『・・・・ありがとうございます・・・すさまじい威力ですね、森全体が浄化されましたよ、魔獣が一掃されて、動物しかいません』

「眩しい~」

泉が光り輝いていた


「すごーい!キラキラがさらにキラキラになってる、いーぱいになった」

テンションの高いグレーテルだった


その後、小屋の女性を迎えに行って、泉の横に家を出して、お菓子を二人に出すことにした

家を仕舞うのも見てたのに、二人はまた、口をあけてボー然としていた


その日は精霊王と交流をして、泊まった

翌日、精霊王と別れて、二人の父親の待つ木こりの家に向かった


「お父さんただいまー」

二人がドアを開けると正に喉に短剣をさすばかりの父親がいた

とっさに魔法で短剣をはじいた


「ヘンゼル?グレーテル?」

わなわなと寄って来る父親


「お前たち・・・生きて・・・生きていたのか」

3人抱き合ってわんわん泣いていた

私ももらい泣きしていたなぁ


悪魔が倒されたと同時に父親の精神魔法も解けていた、取りつかれていた女性とは違い、父親は全て覚えていた


解けた後自分が子供たちを殺してしまったと思い、暴れていたらしい、確かに部屋はぐちゃぐちゃだった、少し落ち着いたら、後を追おうとしたらしい


良かった、失敗した~すぐ帰ってこればよかった


女神様、何かしてくれた?

(まあね、ちょっと逆に混乱させといた,そうすれば死のうなんて思わないでしょ)

ありがとうございます







「と、言うことがありまして」

「もしかして、その木こりの居た村って・・・サミィ村?」

「よくごぞん・・・・何かおかしなことしましたか」


悪魔に取りつかれていた女性は、陶芸家のお弟子さんで、陶芸用の粘土を山に取りに行って行方不明になっていたらしい、2~3日で大分元に戻った女性は継母の姿とは別人で、優しそうな人だった


お礼に陶器のカップを貰った、ヘンゼルとグレーテルがお茶を飲みに来るので3客



「その村は陶器の生産地で、良い粘土があるので陶芸家があつまっていたのですが、最近その陶器で料理や、お茶などを飲むと、疲労回復すると、治癒の効果があると有名になりまして、調査団か派遣されて先日報告書を貰ったのですが、妖精の祝福と聖魔法がその土地から検出されています」


「えっと、特産品になれば村も潤って、陶器が売れれば薪の需要があがってヘンゼルとグレーテルのお父さんも忙しくなるかなって、で、妖精王にも許可貰って、妖精の泉の水を村に引いて、それで陶器を作ったら・・・思ったよりうまく作用・・・したので」

ぎゅっと抱きしめられたわたしだった


「ありがとう、患っていた祖母が回復したんだ・・・本当にありがとう」


見ると、護衛の人も侍女の人も泣いていた

とても慕われいる前皇后だったようだった









































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