暗黒キャンバス
つむつむ
プロローグ
第1話
月が辺りを淡く照らし、人々が眠る時間。
月光といくつかの街灯以外は頼る光もなく、都心を離れた街は暗闇に包まれる。
その様子はまるで、何色にも染まらない真っ黒のキャンバスだ。
ビルの屋上から街を見渡す一つの影。
冷たいコンクリートは、影の主に容赦なく冷たい冷気を吹きつける。
耳につけた無線のイヤホンに指示が入る。
「了解…」
冷徹な声の主は、屋上の縁に立ち、一点を見詰めたかと思うと、屋上からふわりと体を投げ出した。
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