第2話高校生活初日
高一である滝本篤人は父親の都合で、神奈川県に引っ越すことになった。
高校に入る前に引っ越しを終えた。友達に別れの挨拶を言えたことが唯一救いだった。
今年大学生の姉は、一戸建ての家から出て、マンションで一人暮らしをしている。一人地元に残った。
「母さん、父さん。行ってきまーす」
俺は、元気に家を出ていく。
高校デビューが上手くいくことを願いながら、自転車を乗り、二里波高校を目指す。
二里波高校に到着し、同じ制服の彼ら彼女らに目がいく。校舎はすごく綺麗だった。
掲示板に貼られた紙を見て、すぐに教室に向かう。
廊下を歩いている間、中学が同じだったような人同士が挨拶をしていた。当然、挨拶なんてされない俺。
教室に入り、黒板に貼られた紙で席がどこなのか確認して、俺は、席に座る。
30分経った頃に教師が教室に入ってきて、名前を黒板に書く。
教師は、名前を書き終え、教卓に手をつき自己紹介と一言言う。
「このクラスの担任で、金下恵南です。喧嘩とかそういうのを起こさず、平和で楽しい一年を過ごそうね」
それぞれ、返事をする。
「入学式が始まるので、体育館に向かってください」
体育館で一時間ほどの入学式を終え、教室に戻り、全員が席に座ると、金下先生が笑顔で自己紹介を促す。
「窓側の阿賀嶺君から自己紹介をしてくれるかな、簡単でいいので」
一人の自己紹介が終わると拍手をして、後ろの席のクラスメートがやっていく。何事もなく、全員が言い終わり、金下先生が一言言って締めくくる。
「皆仲良くね。けっしていじめはやらないでくださいね。じゃあ──」
昼前には、放課後になり、思い思いに親睦を深めようとしたり、帰ったりするクラスメート達。
「教室にいるみんなー。今からご飯食べにいかな~い。親睦を深めるためにさ」
元気で明るい女子、三葉透が大声で呼びかける。
「俺、絶対行くー」
「憧れだったの。私も行きたい」
「「「俺も、僕も、私も」」」
次々と同意していくクラスメート達。
近くにいた、小柄な女子が俺を誘う。
「滝本君も一緒に行こっ」
「ああ、うん」
教室にいるクラスメートのほとんどが行くことになった。
親睦会が開催されたのはファミレスだった。
ファミレスに迷惑がかからない程度に楽しんだ。二時間ほどで親睦会は終わった。
俺が椅子から立ち上がると、女子に声をかけられた。
「ちょっといい?」
「あっ、はい」
ファミレスを出ると女子は変な事を言う。
「私を知らないの?君」
「えっと、今日が初めて──」
「同級生だったんだね、君。声をかけてくると思ったのに。覚えてないんだね、君」
「同級生だったっていうことは、会ってるの?あなたと?」
「七里ヶ浜に行ったことあるよね」
「はい。何でそれを......」
「思い出してほしい。私の事。ヒントは夏」
質問には答えず、意味深な言葉を言い残し、去る彼女。
俺は、夏に何があったのかを思い出す。
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