花言葉

勝利だギューちゃん

第1話

高校から帰ると、ポストに一通の手紙が入っていた。


宛名は僕・・・

差出人は・・・書いていない。


「いたずらか・・・」


そうは思ったが、中身を見てみる。


「ライラック?」

ライラックの絵が描かれたイラストが、入っていた。


鮮やかに白い色が、塗られている。


「まさか・・・」

慌てて同封の、手紙を読んだ。


【谷口くん


お久しぶり。

私もみんなも、とても元気です。


よろしければ、連絡下さい。


ライラックは、私と君にしかわからない暗号です。


もし、私が誰かわかったら、連絡下さい。


住所も電話番号も変わっていません。


もし、気を悪くしたのなら、謝ります。


君の大切な人



「あの子か・・・相変わらずだな」


中学時代、仲の良かった女の子。

卒業と同時に、僕は引っ越しをしたので、それ以来は会っていない。


とても、推理物が好きだった。


「美少女探偵になるの」

よく口にしていた。


僕は、その子に電話をした。

控えてある。


「もしもし。東です」

女の子の声がする。

間違いないな。


でも、念のため。


「谷口と申します。ゆきなさんは、御在宅でしょうか?」

「私です・・・って、谷口くん?元気だった?」

「ああ。生きているよ」

「で、突然どうしたの?」

「コスモスの絵手紙を、くれたろ?」

電話の向こうで、笑っている。


「やはり、気がついてくれたんだ。ありがとう」

「そりゃあね。こちらこそ覚えていてくれてありがと」

とても、嬉しそうだな。


「で、どうしてあの手紙をくれたの?ただのいたずらではあるまい」

「うん。実はね」

「うん」

「返事が欲しくて」

「何の?」

「ライラックの返事」

ああ、そういううことね。


僕はその夜、突貫で描いた。

そして、返信した。


かたくりの絵を・・・


さてと、どうなるか・・・




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

花言葉 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る