アイマイミー

山儀篤史

プロローグ

 静寂が鳴り響く世界で──私は生きていた。

 光を知らない世界に恐怖などない。

 常闇にただ一人、私という存在が漂うだけの世界なのだから。


 ──しかし、それは間違いだった。

 男が微笑み、私を呼ぶのがたしかに聞こえたのだ。


 私はそのこえしか知らない。

 あなたは知っている、私が認識できない世界を。

 私がらない世界を、あなたは知っている。


 ──ワタシモ、シリタイ。アナタノセカイヲ。


 そう願った瞬間──歯車が動き出した。

 貴方が私を、あかい衣装で彩ったその瞬間から──。

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