ドラキュラさんのメリットは何処 

アリエッティ

第1話 ドラキュラさんの毎日は難しい

まったく忙しいな、ドラッグストアは

ん、どこかで会ったか?

勘違いするな、続編ではない。

だれも読んでいないのに誰が続きを書くのだ。

「自意識過剰か私は!」

まったく夜勤というのは疲れるものだ

陽の光を浴びるよりはマシだが。


「別に私が嫌ってる訳では無い」

太陽ヤツが一方的に拒絶しているのだ、陰気な奴め。どうせ普段は暗いんだろ、無理して明るくしてるんだ。

「ギャップ萌えなんて古いぞ」

ウンザリだ、そういう逆張り的な要素

ヤンキーがいい奴とか、あざといのは計算とかな。判断するのは勝手だが、まず嫌な奴という事を認めろ!

「ヤンキーとバスケ部にロクな奴はいない。あと狐のヤブ医者」

全員が共通しているのは、相手が痛がるのを見るのが好きだという事だ。


「銀でただれた肌を見ても笑えるか」

エグいぞ予想以上にな、ふはははっ!

「さてそろそろか..」

この辺りでいつも客が来るのだ。

「いらっしゃませー..。」

「はぁー疲れた」 「ほら。」

やはりな、読みは当たった。

見たか、来るのを見越してのフライングいらっしゃいませだ!

「そしてすぐ帰れ..」

最近よく来るなあの女、金色の短髪でピチピチのジーンズを履いてる。

「ファッションモデルの量産型みたいな女だな..」

独自性じゃないぞそれ。


「何を患ってここに来る?」

「ここらへんかな..ゴホッゴホッ!」

風邪か、きちんと客じゃないか。

「ないなぁ..」

しゃがめるのか、そのジーンズで。

「痛っ!」

やはり無理か、お洒落に足を掬われたな。

「ズボン切れちゃった〜。」

滑稽、ふははは、滑稽っ!

身の丈に合わなかったようだな。

『カシャッ』「何?」

「薬局でしゃがんだらジーンズが破けた、これ高かったのに〜涙。っと」

おぞましい女だ。

失態を全国に晒すのか、恥を知れ。

「何いいね来るかな〜♪」

ワクワクしている、破けたジーンズで支持を得ようとしている!

「………」「はっ!」

気付かれたか、やはり偏見で遊ぶのは良くないな。


「……」え何?

「………。」棚を見て此方を見て

「……」また黙る、え何?

「ないなぁどこに..」………。

探せという事か?

承認を満たした後で薬を探すのが億劫になったのか!?

「カッパが来なくなったと思ったら」

はっ、まさかこの女カッパか⁉︎

「..あ、あったぁ〜!」

薬を見つけたか。

...軟膏じゃあるまいな。

まぁいい、会計はしてやる。


「いらっしゃいませ..。」

水掻きは付いてない、頭に皿も..無い

「ポイントカードはお持ちですか?」

「あ、はい!」

直ぐ出たな、常連のポインターか?

「お預かりします。」

...然程貯まってはいない、カードを作っただけか。..ん?

「お会計1200円になります。」

「1200円、結構するな〜」

結構する奴自分で選んだんだ。

選択肢があるだけいい、一方的に莫大な処方箋を買わされるよりはな。

「はい。」

「丁度お預かり..します。」

やはりだ、さっきのカードもそうだが

札の隅が少し切れている。

『プルルル...!』

「レシートのお返し..」

「あ、ちょっと待って!」「はい?」

「もしもし?」

出るのか..しかも未だに8和音、どうやって設定したんだ。

「..何今更?」「......」

「別れようって言ったのそっちじゃん遅いよもう!」

彼氏と痴話喧嘩か、ならこのレシートは観覧チケットか?

「風邪ひけっ...!」

そして次の日クラスの奴に

「大丈夫だった?」って聞かれろ!


「言ったじゃん別れるって自分で!

都合良すぎるよ今更、仲直りなんて出来る訳無いじゃん!」

彼氏の前でもそのピチピチのジーンズ履いてたのか?

「もう知らない!」怒ってるな。

腕を振り上げずとも携帯は切れるぞ?

「なんなのよ!」「......」

「レシートお返しします。」「あっ」

これで漸く帰ってくれる、チケットは返却だ。こんな寸劇、見てる方が..

「ん?」

チケットが中心から裂けている。

「あれ、半身はどこに...」

「どうかしました?」

「いや、レシートが短く..痛っ!」

左腕に痛みが、突然どうした。

「血が..これ切れてる?」

「えっ、あ、ヤバっ!

片方の鎌出ちゃってたわ。」

「鎌?」

ちょった待て、腕に鎌。

よく見ると顔にネコのような髭が...。

「この女、かまいたちか?」

何を患っている。

風邪を引くなかまいたちが。


「あの、大丈夫ですか?」

「見ての通りですが。」

「そうですよね、大丈夫じゃない..ですよね〜。」

..己の血で腹は満たされるだろうか?

「偶にやっちゃうんです、私。

お詫びにもう一つ何か買っていきますごめんなさいね?」

「..えっ?」

それでチャラに出来ると思ってんの?

「嘘だろおい、それで一体何を..」

「じゃあこれ下さい。」

「なっ!」

ニンニクエキス!?

よりによってか、本当に偶々か?

意図して選んでいるのだろう貴様!

「態とじゃないんで!」

開き直るな、手刃裂き女め。

「有難う御座いました..!」

おのれカマイタチィァァァ!!

次来たら手汗で刃こぼてさせてやる。

「腕をぱっくりやられたな..」

軟膏買わなきゃっ。


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