【書籍化12/15発売】見習い巫女と不良神主が、世界を救うとか救わないとか。
桜瀬ひな
1−1 プロローグかもしれないし、違うかもしれない
どうして落ち葉は落ちるとゴミになってしまうのか。
枝についてる時には、綺麗でお客も見とれるというのに、落ちてしまうとただのゴミになってしまうそれを、彼女はため息を一つ付いてホウキで掃いた。
こんなこと思いながらお掃除なんて、バチが当たるかもしれない。
そう思いながら彼女が見上げるそこには、立派な鳥居があった。なんでも由緒ある神社らしいが、その外観は古さしか感じることが出来ず、参拝客もまばらで神社経営だけでは生活も苦しいのが現状だったりする。
「あ、なんかやっぱ罰当たりかな?」
そう思いながら、彼女は手を動かして大量の落ち葉をかき集めた。どうせならここで焼き芋とか出来たらいいのに、なんてさらに罰当たりなことを考えながら。
「朝のお掃除、終わりましたー!」
そう言いながら彼女が家に入ると、「お疲れ様、ありがとな」と彼女の祖父・尊(たける)から返事があった。
彼はここの神社、「泉清(いずさや)神社」の神主だ。
「世莉ちゃん、遅れるわよ?」
母親・真理(まり)の声に世莉と呼ばれた彼女は「はーい」とわたわた学校に行く支度をする。
「はい、お弁当ね? 今日はね、ママ特製のハンバーグだから♪」
「……ママ、冷凍食品の袋が落ちてる」
「あら? ちゃんと捨てたつもりだったのに。失敗失敗」
そう言って母親がテヘッと笑うから、世莉も同じようにてへっと笑う。
「笑っとる場合か? そろそろ遅刻するぞ?」
祖父の言葉に時計を見れば、本気で遅刻する時間。
「わっ、それじゃ行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、世莉ちゃん」
「世莉、お守りは持ったか?」
「大丈夫、行ってきます、おじいちゃん」
世莉は祖父に見せるようにポケットを叩いて、玄関を飛び出した。
自転車に乗ってイチョウの並木道を走る。
彼女の家は少し高台にあるから行きは下りで気分爽快だが、帰りはちょっとした筋トレだ。帰宅部の世莉にはそんな必要は全くないのだけど。
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