第3-2話
彩を先に行かせ、狩野と同じ手順を繰り返した。
何度も金属センサーが反応して、修はその度にポケットの中を探り、鳴ったのは恐らくこれだろうと思われる物を警備員に手渡した。
最終的に手渡された小物を両手一杯に抱える破目になった警備員が、
五分程
三人はしばらく通路を真っ直ぐに歩いた。
コンクリート打ちっ放しの壁が続く。
蛍光灯の青白い光は薄暗く、どこかジメジメとした印象を与えている。
途中、丁字路にぶつかり左へと曲がったが、見える景色に変化はない。
所々左右の壁に扉が設けられている。
窓はなく、番号以外の表示もないので、どのような目的の部屋なのかは分からない。
各扉には、電子ロック用の小さな機械が取り付けられている。
「我々が呼ばれた理由を知りたい」
前を歩く狩野が話そうとしないので、修がそう切り出した。先程から、やはりいつもとは様子が違う彩のことも気になった。
「不審者が見つかったので……」
狩野は前を向いたままこちらには振り向かず、言い難そうに言葉を
「それは聞いている」
修は口調が強くなるのを抑えた。
「どうにも私達では、どう対処すれば良いのか難しくて……。それで今日東京駅の調査をしていると、昨日お二人を案内した警備員から聞きまして、その、調査室の人なら慣れているのではないかと。も、もちろん、お二人が調査されている内容と関連があるかもしれないという、可能性もありますし……」
後ろめたいことでもあるのか、狩野は言い訳にも似た説明を始めた。
狩野の言う、調査室の人間の方が慣れているという意味が、修には良く分からなかった。
「不審者の
「その、聞き取りはまだでして……。あ、いや、発見時にどこか苦しんでいるように見えたので、今は薬が効いているのか寝ている状態でして」
「医務室に?」
「はい。一応見張りにと、扉の外に警備員を配置しています」
外に? 何故中で見張らないのか。
どうにも不可解な事が多いように感じる。
問い
修は彩の肩を両手で抱きとめる。
血の気の引いた彩の顔を見た修は、ジャケットを脱いで彩に着せた。
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