ほっぺたフェチな新井さん
「仕方ないじゃないですか。ヒーローインタビューとなると、試合を決めるような活躍をして頂かないと………勝利投手になったりとか、逆転タイムリー打ったりとか………サヨナラヒット打ったりとか」
「俺、この前サヨナラツーランスクイズ決めたじゃない」
「血だらけの人をヒーローインタビューステージには上げられません」
「まあね」
それはそれで面白いかもしれないけど。片腕を押さえながら、顔面蒼白でお立ち台に上がる。今にも倒れそうなくらい言葉も絶え絶えで、スポンサーロゴを血で染めていくような。
新時代の血塗られたヒーローインタビュー。
「新井さんも今のままで満足しないで下さいよ。さらに活躍すれば、私がちゃんとヒーローインタビューする場を設けてあげますから」
そう言われて俺は、は? と思ったので彼女のほっぺたを両方つまむ。
「さらなる活躍ってどんくらいだよ! 4割じゃ足らんのか!? 5割か? 5割は打てってか!?」
「ひょっと、はにゃしてくらさい………あいしゅありましゅはら!」
「アイス!? イエーイ! ア・イ・ス! ア・イ・ス!」
俺は彼女のほっぺたを離して、一目散に球場内食堂の冷蔵庫へスーパーダッシュ。
まあ、みのりんのほっぺたの方がやっぱり気持ちよかったけどね。
北関東ビクトリーズが連勝! 先発小野里7回0封、阿久津先制タイムリー含む猛打賞! 桃白4号ホームラン!
埼玉 000 000 000 0
北関東 100 001 00× 2
勝 小野里 2勝5敗 負 杉崎 2勝3敗
S岸田 1勝3敗12S
本塁打 北関東 桃白4号ソロ(6回ウラ)
北関東が埼玉相手に連勝!北関東は初回1アウト3塁のチャンスに阿久津のタイムリーで幸先よく先制する。
6回には桃白にソロホームランが飛び出し貴重な追加点を挙げた。先発の小野里が7回を被安打3無失点の好投で今シーズン2勝目。
敗れた埼玉は、打線に元気がなく、好投した先発杉崎を援護出来なかった。
勝利投手の北関東先発小野里。
「鶴石さんが上手くリードしてくれました。早めに点を取ってもらったし、勝ちたい気持ちだけだった。今日のピッチングは自信になる」
先制タイムリー、5回にはファインプレーもあった、今日猛打賞の阿久津。
「前の2人が作ったチャンスをなんとか打ててよかった。小野里も頑張っていたので、チームとして勝たせてあげられてよかった」
勝利した北関東の萩山監督。
「今日は小野里がよく頑張ってくれた。もう少し打線が点を取ってくれてたら、言うことないけどね。まあ、明日も頑張りますよ。
……え? 新井? ……打線の繋がりを考えると、やっぱり2番で使いたいよ。本人もそこが合っているようだしね」
翌日。
「さあ、7回ウラ。ラッキーセブン。ビクトリーズの攻撃です。同点で1アウト満塁となりまして、バッターボックスにはトップに返って柴崎です。今日既に2安打放っています」
同点で満塁。ヒーローになるには申し分ない場面でネクストから柴ちゃんが打席に向かおうとすると、ベンチから………。
「おい、柴崎! 低めは捨てろよ! 低めの変化球には手出すなよ」
「はい!」
「頼むぞ、柴崎」
「はい!」
打撃コーチのおじさんが珍しくベンチを出て、打席に向かう柴ちゃんに声を掛けた。
それに対して、気合いに満ち溢れた返事を返した柴ちゃんが1歩1歩打席に向かう。
相手チームはマウンドに集まって、柴ちゃんの様子を見ながら作戦会議。
球審に急かされるようにして相手内野陣の輪が解けて、守備位置に戻り試合再開。
満塁の場面。相手の守備体形は本塁封殺第1の前進守備。柴ちゃんにすれば、ヒットゾーンが広がっている大チャンス。
ピッチャーがセットポジションから第1球を投げる。
それを柴ちゃんが打ち返す。
打球は詰まり気味で、ハーフライナーとなって前進守備のショートの頭の上へ。
3人のランナーがストップして、食い入るようにその打球を見つめる。
相手ショートが少し下がりながらタイミングを合わせてジャンプ。
打球はその向こう側に落ちた。
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