おしごと白黒マダラ色
かたやき
第1話 21年目の出来事
令和元年。
実のところ元号が変わっただけなのではあるが、それでも、なんとなく世の中が微妙に変わったような気がしないでもないこの年の夏、ワタクシこと「かたやき」にも、微妙な変化が訪れた。
変化そのものは、驚くべき出来事ではあった。
だが、その単位はショボかった。
わざわざ引っ張るほどのネタでもないのでちゃっちゃと話を進めるが、今春にして丸20年、さらには21年目に突入した本年の夏、初めて、かたやきのボーナスが上がったのである。
有り体に言えば、六万円だったのが、十万円になった。
もう一度書く。
ボーナスが、六万円から、十万円に上がった。
21年目にして、初めてだ。
実を言えば、昨秋、雇用主に対して盛大な抗議をやらかした成果である。
なにしろ、ボーナスどころか、20年間全く昇給していなかったのだ。
新規就職した夏、六万円はショボいが転職新入職員だしな……、と諦観したまま21年もの歳月が経過してしまった。
ちなみに、冬のボーナスも例年は六万円。
今年は上がると期待はできるが、額面は推して知るべしである。
だが、給料は、上がっていない。
雇用主曰く、「チマチマ上げるのは嫌い」なんだそうだ。
なら、20年も居るんだから、一回くらい大きな昇給があってもよいのでは?
そんなところに20年も居る方が馬鹿なのではあるが、それにはそれなりの事情があり、安易にケツをまくるわけにもいかなかったのだ。
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