ドラゴンさんの子育て日記62
新聖暦896年 蛇月の一日
学園都市へと向かっている。去年は行かなかったから、少し久しぶりな感覚になる。竜である我にとって、数年などほんのひと時だったはずなのにルグネに出会ってから、時間の感覚が人間よりになっているのかもしれない。
新聖暦896年 蛇月の三日
ルアノは初めて学園都市に向かうので、馬車の中で外を見ながら何だかはしゃいだように翼をばたつかせていた。愛い。
我が子たちがルアノと接しているのを見るのも愛い。
愛いものばかりで、我は見ていて幸せだ。
新聖暦896年 蛇月の五日
子たちがまた蛇を見に行きたいと言っていた。蛇ってなんぞと思ったが、ラオに言われて思い出した。そういえばそんな蛇いた。というか、前に寄ったのもこの時期だった。また祭りがやっているならちょっと寄りたい。我、祭りは楽しいから好きなのだ。
ミカガネには「あまり刺激しないように」と言われた。刺激などしない。
新聖暦896年 蛇月の七日
空を飛んでびゅーっと向かうのも良いが、馬車での旅も良い。我が子達がはしゃいでいて、我の隣でラオが楽しそうで、良い旅だ。2号の兄と妹も楽しそうである。
騎士たちは我らが共にあると魔物が襲ってこなくていいと喜んでいた。
新聖暦896年 蛇月の十日
さて、蛇の居る村についた。祭りはまだ始まってないらしい。それにしてもあの蛇、よっぽど慕われているようだ。村では蛇神様蛇神様と、崇めているようである。
村の守護神的な感じらしい。我らに怯えてプルプルしている様子ではそうは見えないのだが、人間からしてみれば大の大人を丸のみ出来るような蛇だと神みたいに見えるのだろうか。この連中に竜の姿見せたらどうなるんだろうかと気になったが、流石に可哀そうなのでやらない。
新聖暦896年 蛇月の十二日
祭りが始まる。小さな村なので一日だけの祭りだ。湖をのぞき込みに行ったら蛇はすぐにやってきた。
何か御用ですか、ととても震えていた。取って食うわけでもないので、そんなに怯えないでほしい。我は弱い物虐めなどしないというのに……と思ってしまった。
帰りも寄るといったら了解しましたと相変わらず震えていた。この蛇、我らに慣れることがあるのだろうか。
新聖暦896年 蛇月の十五日
蛇の所を後にして学園都市に向かう。もうすぐ着くかと思うと我の心は踊る。
我、結構、学園都市のことを気に入っているのだと自覚した。
新聖暦896年 蛇月の二十日
学園都市に到着した。子たちが「学園都市!」と楽しそうにはしゃいでいる。愛いものよ。
以前泊った宿に顔を出せば相変わらず覚えていてくれていて歓迎してくれた。何で覚えているのかと気になって聞けば「そりゃあこれだけ綺麗な人達の集団覚えているに決まっているだろう。綺麗なお姉さんはしゃべり方が独特だし」と言われた。綺麗なお姉さんとは我のことか?
新聖暦896年 蛇月の二十一日
2号の兄が来年から学園に通うため、魔法学園に挨拶に行くと言っていた。ルグネたちも通うかもしれないので、一緒に行くかと聞かれた。
学園都市にくるのは三度目だが、学び舎の中に入ったことは今の所ない。面白そうなので共に行くことにした。
2号の兄と妹は阻害魔法を解いていくようだ。宿から魔法を解いていくと騒がしくなりそうなので、学園についてから解いていた。面白かったのは、本人だと分からないようにしている魔法を使っていたからか、学び舎の者が「なんだ貴様っ」とか偉そうにしていたのに、2号の兄と妹の正体が分かるとぺこぺこしていたことだ。人と言うものはおかしいものだと思う。そういうので態度変えるのは正直不快である。
学園の偉い奴の所に来た。白髭の人だった。白髭と呼ぶ。白髭は、ぺこぺこしていた。学園のものが申し訳ないと。
あと2号の兄と妹が我らの事を紹介したら、「歓迎します。竜様方」とにこやかに笑っていた。悪い奴ではないようだ。2号の兄が「シルビア様たちの子も此処に通うのだ。この学園の環境をよくしておかないと、お怒りになるだろう」と我を引き合いにだして白髭にいっていた。まぁ、あまり悪い環境だと我は此処に子達をやりたくない。あとなんかあったら怒るのは事実である。白髭が体をぷるぷる震わせていた。なんか蛇に似てる。
新聖暦896年 蛇月の二十五日
今日はラオとお出かけする。ミカガネが子たちを見てくれているので二人でのんびりするのだ。
ラオも機嫌がよさそうだ。我もラオと一緒に出掛けられて嬉しい。劇を見たり、ぶらぶらしたりした。一緒にお買い物をするのも結構楽しいものだった。ライラにお土産を買った。
新聖暦896年 蛇月の二十七日
ルグネ、ラビノア、シノウールは、学園都市に興味津々な様子だ。三度めなのに学園都市が楽しくて仕方がないようだ。
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