ドラゴンさんの子育て日記㊿
新聖暦894年 須月の一日
先月は沢山友人の事を思い起こした。他の大陸には正直行こうという気さえわかずに行ったことがなかった。でも、いつか友人の嫁いだ場所を見に行きたい気も最近している。
新聖暦894年 須月の四日
ルグネは風の魔法の練習を必死に続けて、もう空を飛べるようにはなっている。友人程自由自在ではないけれども、凄い事だ。もう少ししたら様子見をしながら空の散歩をしてみよう。
きっと家族でそれが出来たのならば楽しい。
新聖暦894年 須月の七日
我が子達が学園に入学する可能性も高いので、我は人の世界について学ぶ事を最近よくしている。人の世界はよく分からない事が多いが、我はルグネ、ラビノア、シノウールの母なのだから。
人の世について学ぶと色々と楽しい。
新聖暦894年 須月の十二日
今日はラオと二人でのんびりした。ミカガネや母君、父君が面倒を見てくれているのだ。我とラオだけだと、ラオは結構甘えてくる。愛い奴め。
二人で過ごした後は、ラオはご機嫌らしい。我が子達が言っていた。
新聖暦894年 須月の十五日
村に下りた。村の連中は相変わらず我らによくしてくれている。ラオは我ら関連の売り上げを色々受け取っていた。我らの財産は結構な額になっているらしい。
このお金というものは、すべて我が子達のために使えればいいと思う。
新聖暦894年 須月の十七日
ルグネ、ラビノア、シノウール達が宙に体を浮かせて、遊んでいた。
あんなに小さかった我が子達がこんなに成長しているんだなと思うと、何だか嬉しくなった。我も混ざりたくなって「混ぜてもらう」と近づいたら、ラビノアに「母さん邪魔」と言われてショックを受けた。でもショックを受けた我になんだかんだで「そんなに落ち込まないでくれよ」と言って混ぜてくれたのでラビノアは良い子だと思った。愛い。
新聖暦894年 須月の二十日
今日はラビノアは黒竜の使える魔法をラオに習っている。ちなみに我がシノウールに白竜の使える魔法を教えておる。
ルグネはミカガネが見てくれているのだ。
それにしてもこうして考えるとやはりルグネは凄い。全属性の魔法が使えるなんて、人間の身でありながらなんて凄いのだろうか。
新聖暦894年 須月の二十三日
今日は読書をする。ライラが沢山送ってくれた本は楽しい。我があまりにも読書に夢中になっていたら、ラオが「俺もシルが夢中になれる話を書く!」とか言い出していた。
ミカガネには「貴方が本ばかり読んでいるからですよ。もっとかまってあげてください」とか言われた。しかし、ラオが何か書いてくれるというのならば読んでみたい気もする。本ばかり読んでいるのもラオがすねるのでその後はめちゃくちゃラオに甘えた。ラオは甘えられるのも好きらしいのでな。
新聖暦894年 須月の十五日
ルグネは相変わらず我らの鱗を触るのが好きである。
すべすべで気持ち良いと喜んでいた。
新聖暦894年 摩月の一日
子達を連れて散歩に出かけた。今日は人型の姿と竜の姿の両方でだ。地上の散歩をしたり、空の散歩をたり、凄く楽しい。
時々狩りをしながら散歩をする。ルグネはまだ六歳だけど、我らと一緒に狩りをしているから小さな魔物ぐらいなら狩れる。魔法を使うのも大分上手になっていて、流石我が子としか言いようがない。本当、愛い。
思わず撫でまわしたらラビノアとシノウールにじーっと見つめられたので、自分も撫でられたいという事かなと思わず撫でまわした。
新聖暦894年 摩月の十日
ルグネとラオが散歩にいっていたのだが、何か拾ってきた。卵である。
新聖暦894年 摩月の十一日
落ちていたらしい。通常こういう卵は巣で親が温めるものだが、巣から落ちたのか知らないが、落ちていたようだ。しかも周辺にそれらしい巣がないという。それで思わず拾ってしまったようだ。
ルグネが飼っていい? という目で見ていて、思わず即答で良いと答えてしまった。……まぁ、小さな卵であるし、そんなに大きな魔物ではないだろう。害があるのならば処分すればいいだけだし。
新聖暦894年 摩月の十五日
ルグネだけではなく、ラビノアとシノウールも卵に興味津々だ。卵を温めなけばと必死にお腹でぎゅっと抱えたりしている子達はとても愛いものだ。パシャパシャと写真を撮ってしまった。
願わくば、生まれてくる魔物が子達にとっての味方であればいいのだが。
新聖暦894年 摩月の二十日
ラオがペットの飼い方や魔物の飼い方といった本を手に入れてきた。ラオも卵から何が生まれてくるか興味津々のようだ。それにしても他の魔物を飼うなどと言う事はしたことがない。何か不測の事態でも起きなければいいが。
新聖暦894年 摩月の二十二日
ミカガネも生まれてくる魔物用の道具などを用意している。うむ、皆、楽しみにしているようだ。我も不安はあるが楽しみだ。よく考えれば小さな魔物と戯れる我が子達とか、絶対に愛いもん。
新聖暦894年 摩月の二十八日
卵がかえった。
中から現れたのは、小さな鳥型の魔物だった。
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