ドラゴンさんの子育て日記㊺

 新聖歴894年 新月の一日


 また年が明けた。ルグネももう六歳になった。

 我が子達も大きくなってきた。子の成長は早いものだ。ルグネは去年、魔力を持っている事が分かった。その事は我にとって喜ばしい事だった。まだ無理だけれどもいつか、ルグネと一緒に空の散歩が出来れば我はとても幸せだと思うのだ。

 子竜たちは我やラオほどは上手に飛べないがもう飛べるようになってきている。皆で一緒に空の散歩が出来ればきっと幸せだろう。我が子達と、共に空を移動出来たら、それを思うと我は楽しみで仕方がない。

 これからの楽しみがこうしてどんどん増えていく。

 そのことが我は嬉しくて仕方がない。これから先、ルグネやラビノア、シノウールはどんなふうに成長していくのだろうか。

 今日は母君や父君も来ていて、家族の皆でまた年が明けた事を喜び合える事に我の心は温かくなる。

 子達に今年は何か目標はあるか、と問いかけた。

 ルグネは魔法をもっと使えるようになりたいと言っていた。

 ラビノアはもっと魔力の扱いを上手く使えるようになりたいと言っていた。

 シノウールは空を飛ぶのをもっと速くなりたいって言っていた。

 うむ、目標があるというのは良い事である。我の目標は……うむ、母として子達が楽しくあれるように全力で一年楽しませる事であろうか。

 ラオは今年も家族を幸せにすること! と言っていた。



 新聖歴894年 新月の四日


 今年もどこかで学園都市に行こうと計画している。もしかしたら学園に通うかもしれないのだから、楽しかったからまた行くのである。子達を預けるかもしれない場所なのだから、どんなふうな場所なのかもっと知りたいのだ。

 そういう話をライラに手紙で以前伝えたら、きんきらきん2号の子供達も連れて行ってほしいなどという返事が返ってきた。



 新聖歴894年 新月の十日


 ラオとミカガネと一緒にきんきらきん2号の子供の話をした。別に連れていってもいいのではないかという話になったのでそれを手紙で送った。まぁ、きんきらきん2号の子達に我が子達は懐いているからの。

 我らだけだといつ行ってもいいけれど、2号の子を連れていくのならばいつ連れて行くのかきちんと考えなければならない。


 新聖歴894年 新月の十二日


 今日はミカガネや母君、父君が子達の面倒を見てくれているのでラオと一緒にでぇとをした。二人で過ごす時間というのもやっぱりいいものである。こうして誰かの助けを借りられる環境はとても素晴らしい事なのだろうと実感した。

 ラオと二人で出かけて帰ると、子達が迎えてくれる。ルグネは楽しかった? とにこにこしていて、ラビノアとシノウールは呆れながらも我らを見て笑ってる。我の子達は本当に愛い。自慢の家族だ。


 新聖歴894年 新月の十五日


 今日は皆で昼寝をした。

 我は昼寝をするのが結構好きなのだ。竜体で寝ころんだ我の周りに人型の子達がいて、とても良い気持ちだった。

 ラビノアとシノウールは一緒に寝るのに躊躇いがありそうな雰囲気だったが、我とルグネで頼み込んだら昼寝させてくれた。愛い奴。


 新聖歴894年 新月の十七日


 ラオとの交換日記も量が多くなってきた。子育て日記はもっと多いけれど、こうして記録を取ったものは、いつか、……ルグネが先に亡くなった後に読み返すのだろうか。今、考えても仕方がない事だが、ルグネは人であるから我よりも先に死ぬのだ。そのことを時々思い起こして悲しくなる。

 ルグネを育てているからこそ、今という一瞬が余計に大事に感じられるのだ。例えば……そもそもルグネを拾わなければラオと子などなさなかっただろうけれども……ルグネが居なくて子が出来ていたならばこんなに我は子を大切にしなかったかもしれない。もう、本当考えるだけで我、泣く。


 新聖歴894年 新月の二十日


 学園に通わせるかもしれない、という事も含めて我らはお金というものを持っておくべきだ。我はお金の価値がまだ正確に把握できていない。ラオに任せていた。しかし、我ももっと人の世について習えた方がいいだろうと思ったので勉強を頑張ろうと思った。


 新聖歴894年 新月の二十五日


 ルグネ、ラビノア、シノウールは魔法の練習をしている。主にルグネが一生懸命にやっているのだが。我の説明では上手く通じないらしく、ミカガネが結構見てくれている。

 ルグネが空を飛べるように我も全力バックアップしている。ラビノアとシノウールの飛行の練習も見ているのだ。皆で飛べる事を我は心待ちにしている。


 新聖歴894年 新月の二十八日


 本当に時間が経つのは早いものだ。もう今月も終わりかけている。今月も楽しかった。いつまでもこういう日が共に過ごせたらいいと我は望んでいる。

 家族が大切で、ミカガネも家族のように大切で、皆が居るから我は楽しい。

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