ドラゴンさんの子育て日記㉓
ドラゴンさんの子育て日記㉓
新聖歴891年 流月の一日
ライラの結婚が決まってから我は寂しさを紛らわすためにいつも以上に騒いでしまった。
愛い愛いと子達を愛でながら、寂しさを紛らわす。あとライラにくっついたりしてしまった。
新聖歴891年 流月の四日
ラオと共に我らがライラに出来ることはないかということを話し合った。ライラはきんきらきんの番になると、少なからず苦労をするはずだとラオは言っておった。
その苦労を少なからず小さくするためにどうしたらいいかということで、ラオに一つのことを言われた。
我らとライラが仲良しであるというのを思いっきり人間に見せる方がいいと。それでいて我らがどれだけ力を持っているかきちんと分からせればいいのだと。ライラに何かあったとき、我らがどんな行動をするかを知らしめるべきだと。
そうしなければ、ライラが侮られると。
我は人の世は良くわからん。わからんが、侮られることがいいことだとは思えない。自然の世界で侮られるとろくなことにはならない。我は、ライラが侮られるなんて嫌だ。
新聖歴891年 流月の七日
ライラにプレゼントを与えようという話になった。
ライラが我らの親しい存在である証を、ふんだんにわれらの身体の、素材になる部分を使って。
ライラの側に危険がおこるなど、我らの誰もが望まない。
新聖歴891年 流月の八日
ルグネは人の子で、まだライラが番うという意味も分かっていないようだ。
ライラが居なくなったあと、覚悟をしている子竜たちはともかく、ルグネはどれだけ落ち込むだろうか。
新聖歴891年 流月の十日
我、ライラが大好きだと改めて思う。我、ライラが幸せになるのは嬉しい。我もラオと思いが通じ合って、一緒に番として暮らせて嬉しい。そう思うから、ライラがきんきらきんと共に番として幸せになってほしいとそう思ってならない。ライラ、我はライラが居なくなるの寂しいけど、ライラが選んだ道なら我は全力で手助けする。
新聖歴891年 流月の十三日
人型の姿でライラをぎゅっとしてしまった。人型の我よりもライラは小さい。背が低くて、我がぎゅっとすることは出来る。ライラはぎゅっとした我に驚いた顔をしたけれど、我をぎゅっとしてくれた。
新聖歴891年 流月の十四日
ルグネ、ラビノア、シノウールもライラにぎゅっとしていた。小さな人型の身体でぎゅって。ルグネはラビノアとシノウールの真似をしているだけのようだが。
新聖歴891年 流月の十五日
ラオと一緒にライラへのプレゼントを作る。我は細かい作業が苦手だけど、大好きなライラのためである。
母君とミカガネもライラに何か贈り物をしようと考えているそうな。そして子竜とルグネもそんな我らを見て何かをあげようとしているらしい。
我のライラは皆に好かれていると思うと、何だかうれしくなった。
新聖歴891年 流月の十七日
今は亡き友人のことを思い出した。友人は番を作って、それ以降会わなくなった。遠くに行ったからというのもあるが。あ奴が死んで、我にはもう人とかかわることはないだろうと思っていた。
あ奴が特別なだけで、我と対等であっただけで、人は脆弱で、我はかかわることはないと。そんな我が、人とこれだけかかわって生きていることを、あ奴が知ったらなんていうだろうか。
もういない友人に、何だか会いたくなった。会えはしないけれど、一度ぐらい魔族の国に顔を出してあ奴の弔いをしてもいいかもしれない。
などと、考えるようになったのはルグネを拾って、こうして人と我が関わるようになったからだ。
新聖歴891年 流月の二十日
ライラへの贈り物が出来た。
我とラオの渾身の作品。竜の加護つきのものである。ラオ曰く、我とラオの素材が存分に使われたこの首飾りと指輪と腕輪と頭飾りは人の世の中では相当な価値があるものだそうな。
正直だからなんだと思ったが、盗まれる可能性もあるらしい。うむむ、我はライラのためにこれらを作ったのである。他の誰かにやるものではない。ということを語ったら、ラオが他のものが持てないように細工していた。流石、ラオである。
新聖歴891年 流月の二十一日
ライラにこれらの贈り物をあげるのはもっと後にしようということで隠しておくことにした。
ミカガネや母君に作ったものを見せたら引かれた。何故だ!! 我らがライラのために一生懸命作ったというのに。
何でもやりすぎらしい。でも我、ライラが大変な目に合うの嫌なのだ。だからこれだけやるのは当然であろう?
新聖歴891年 流月の二十三日
ルグネが一生懸命家族の絵をかいていた。子供らしい何を書いているかよくわからん絵だ。でも愛い。これをライラに上げるのだと言っていた。なんて愛い息子なのだ。
ラビノアとシノウールも一緒に絵を描いたようだ。シノウールの絵が上手くて我びっくり。ライラの絵を沢山かいていた。我と一緒にいるライラとか、子竜たちとライラとか。あと手紙を用意する予定らしい。
うむ、手紙か。我もライラに文を書こうかの。
ライラには世話になっているからの。
新聖歴891年 流月の二十六日
半月後に王都からきんきらきんがやってくるという手紙がライラに来た。その時にライラは王都にいって結婚式の準備がされるそうな。結婚式には我らも呼んでくれるらしい。
どのタイミングで贈り物をあげるべきだろうか。ライラの晴れ舞台で渡すのも良いかと思うのだが、それまでにライラが人の世界で危険な目に合わないとは限らない……。何時渡すべきか我とラオは話し合いをすることにした。
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