第十話 広告を表示させても作品の商用利用にあたらない
十一月も残すところ一週間となり、もうすぐ新しいデータが出るかと思うと早く比較してみたくてワクワクしていますが、その一方で多くの方が「広告を掲載したら、作品の商用利用になって新人賞コンテストなどに応募できなくなるのでは?」と不安に思っているようです。
この件について、本日(十一月二十五日)付で、カクヨムから見解が提示されました。
https://kakuyomu.jp/info/entry/2019/11/25/000000
第一話でも触れたように、カクヨムの見解はすでに発表されているのですが、あらためて……ということは、それだけ問い合わせが多いということでしょう。
カクヨムの結論としては、本プログラムへの参加で得た収益は「作品の商用利用」にはあたらないとしています。
本エッセイでも第二話において「商用利用にはあたらない」とする見解に同意しました。今回は、それに至る理由を説明していきたいと思います。
ロイヤルティプログラムが始まるまで、漠然と抱いていたイメージは「物語に関連した広告が表示されるのかなぁ」というものです。
小説や漫画などジャンルに応じた商業出版本が表示されたらいいな、と思っていた方も多いのではないでしょうか。他にも恋愛ものなら恋人と行くのにお薦めなレストラン、コメディーならお笑いのDVD、といった何かしら関連性のあるものを想像していました。
ところが、いざ始まってみると全く関連のない広告ばかり。
具体的な内容は伏せますが、私が見ている広告は専門的な分野に関する広告が大半を占めています。特に求人広告が一番多く表示されますね。ちなみに転職などは全く考えておらず、検索したこともありません。他には健康・医薬関連や旅行が目立っています。
みなさんはどのような広告が表示されますか。ショッピング関連だったりアニメ・ゲームといった広告は表示されているようですね。どんなものが掲載されているのかも興味のあるところですが、なぜこのように個々によって表示される広告が異なっているのでしょうか。
これは「行動ターゲティング広告」と呼ばれる手法で、Yahooなどでも採用されています。主にパソコンやスマホ内のcookieを活用して、閲覧者に刺さるような広告を配信する方法だそうです。特定のジャンルに興味を持つ方へ宣伝できるため費用対効果も高いと言われています。
この広告手法について掘り下げるのはこれくらいにして、今回のテーマ、「なぜ広告を表示させても作品の商用利用にあたらないのか」を考えてみましょう。
今までご説明したように、ロイヤルティプログラムでは閲覧者側の特性に応じた広告が表示されることが分かりました。
もし、これが作品に関連する広告が表示されたとしたら――。
その作品を利用して広告による収益増を狙い、その対価として収益を得るという図式になります。これは客観的に見て、作品の商用利用と判断される可能性が高くなります。
そこで行動ターゲティング広告を採用することで作品との関連性を持たせず、あくまでも運営が得た収益をPVに応じて還元するというシステムにしたのだと思います。この方法であれば、運営が再三にわたり広報するように、作品の商用利用には当たらないと言えます。
一方で、こちら側が根拠を持って判断したとしても、相手側も同じ判断をするとは限らないため、「対象外となる場合もあるので、詳しくは各賞の運営窓口まで個別にお問い合わせください」と付記しているのでしょう。企業側のリスク回避としてはごく当たり前のことではありますが、書き手の方たちにとって不安を招いてしまったのかもしれません。
私のような立場の者がお墨付きを出しても何の意味もないとは思いますが、運営の解釈を信じてあげてよいのではないでしょうか。
蛇足ではありますが、文フリ(文学フリマ)について。
ここ数日のツイッターでは文フリの話題がタイムラインを賑わせていました。それを見ながら、いいなぁ盛り上がっていてとほほえましく見ていたのですが、本話を書きながら「あれ、作品の商用利用としては、文フリの方がアウトじゃね?」と思ったんです。
作品を販売しているんですから、モロ商用利用ですよね。なにか暗黙の見解があるのかなぁ。
この界隈には疎いので、もしご存じの方がいたら教えてくれると大変喜びます。
ちなみに「販売しても赤字じゃーっ!」という気もするので、その場合は掛った費用の内訳と売り上げを記録しておいて、賞への応募の際につつかれたらいつでも提示できるようにしておくといいかもしれませんね。
さて、今週末からはカクヨムコンも始まるので、PV総数が大きく動くはず。アドスコアにどんな影響が出るのか、楽しみです。
次回は十一月末のPV数を発表いたします。
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