代償

翌朝、冬馬が家まで来てくれた。

「おはよう、どうしたの?」

「どうしたの?って迎えに来たんだよ」

照れ臭そうに冬馬がこたえる。

「お前の事が好きだ!付き合ってくれ」

頬を赤らめて冬馬が恥ずかしそうにする。

「私も好きだよ」

その日から幸せな日々が続く。

この幸せがずっと続きますように。


ずっと続けるには【血】が必要だと知る。

魚の血を試したがなんにも反応がなかった。

動物の血はさすがに気が引ける。

だけど、血が必要だ!

この時の自分は自分じゃなくなってた。

まずは生物室から盗んだネズミを殺しては血を得た。

自分の幸せのために!!

でも、初めは小さな願いなら動物の血でも叶えられた。成績が良くなりますようにとか、旅行ができますようにとか、美味しいものが食べたいとか・・・。

そのうち、欲が出て動物の血では間に合わなかった。

どうしよう・・・。


平田と手塚の顔が浮かんだ。

あの二人なら少し傷つけても大丈夫かしら。

私のこと散々イジメてきたんだから。

でも、人殺しや傷害で捕まりたくないのが本音である。

やっぱり自分の血の方が後味悪くないだろうし、願いは叶えられそうである。

思いきって手首を切る。

「この幸せがずっと続きますように」

紫の鏡に血を流しながら呟く・・・。

意識が遠のいてく。






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