母親

「ただいまー」

母親は私に朝の件で詫びることなく無視するだろう・・・。

玄関で靴を揃えて、立ち上がった。

すると目の前に母親の姿がある。

なんだろう?また叩く気かな、不安になる。

「お帰りなさい、佐奈ちゃん」

いきなりハグしてきた。

「どうしたの?お母さん??」

どうしたんだろう、やけに機嫌が良いと言うか優しい。

「傷、大丈夫?お母さん2度としないからね、約束するわ」

その言葉に疑問を感じながら頷いた。


いつもだったら無視するくせに、一体何が起きてるんだろう?


あっ、さっき鏡に願ったからかな・・・。

まさか、偶然よね・・・。

何か良いことがあって機嫌がいいんだろう。


自分の部屋に行き、紫の鏡を見つめ直した。

キレイだなぁ、この鏡・・・。

ごく普通に売られていたらもっと高いと思う。裏面は紫のステンドグラスのような施しがしてあって、大人っぽい鏡に惹かれた。

「お母さんがずっと優しくなりますように」

鏡を裏向きにしてベッドに横たわった。

もう今日みたいな事はイヤ!!





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