第14話 ステータス

 チュートリアルのAIが化けた! 進化したという方が正しいのか?

 ナビーという可愛い思念体状態で、俺の網膜上をうろちょろしている。それがまたなんとも可愛い容姿をしているのだ。これを俺がイメージして作り出したかと思うと、ちょっと恥ずかしくなる。AIになにを求めているんだって話だ。他の奴に知られると、仮想嫁とか妄想嫁とか言われそうで居た堪れない。


『ナビー、早速だけど、俺のステータスを見れるかな? 個人スキルは持ってる?』

『♪(チロリーン)ステータス画面を思えば表示されますが、どういうものか分からないでしょうから、初回はナビーが表示しますね』


 おお! MMO的なステータス画面が現れた。


『♪ 次回からこの画面を脳内で思うだけで表示されます。マスターは上位世界の転生者なので、この世界の者はできないのですが、ステータス画面のカスタマイズができるようです』


『ナビー……毎回、喋る前にチロリーンって鳴る鐘の音を止めてもらえるかな?』


 ちょっとウザい……。


『♪ ウザいって! マスターがこうイメージしたんじゃないですか! 初期設定は絶対です! もう変更できません!』



 思考を読まれてめっちゃ怒られた……そっか……今後も毎回チロリン鳴るんだね。




 俺のステータスはこんな感じだった。



  【八重樫八雲】

   HP:125

   MP:67

  レベル:1

   種族:人族

  仮種族:ヒョウモンダコ 

   性別:男

   年齢:16歳 

 転生年齢:0歳

  職業:……


  攻撃力:67              

  防御力:36

  敏捷力:23

   知力:931

  精神力:742

    運:……

  魅力 :842


   AP:3



 《スキル》


  《生活魔法》

    【亜空間倉庫】Lv1

    【クリーン】


  《固有魔法》

    特殊支援系

     【墨吐き】Lv1     


    戦闘攻撃支援系

     【麻痺毒】Lv1  

     【テトロドトキシン】Lv1

              

  《既存魔法》

    特殊支援系パッシブ

     【隠密】Lv1

     【忍足】Lv1

     【暗視】     


    戦闘支援系パッシブ 

     【身体強化】Lv1

     【腕力強化】Lv1


   《ユニークスキル》

     【周辺探索】Lv1

     【詳細鑑定】Lv1

     【インベントリ】

     【カスタマイズ】

     【ちゅうちゅうたこかいな】


 


 聞かなくても大体分かるな。

 HPはヒットポイント、命の数値みたいなものだ……これが0になったら死亡だよね。

 MPはマジックポイント、スキルや魔法の撃てる容量みたいなものだ……これがなくなると昏倒するらしい。


 攻撃力・防御力・敏捷力は言うまでもないな。

 知力は、頭の良さを表し、魔法の威力に係わってくるんだよな。

 精神力は、心の強さを意味していて、精神攻撃耐性に影響したり回復魔法に影響するんだろうな。


 やたらと知力と精神力が高いけど、多分転生者で生前の記憶が残っているからだろうと思う。

 運の数値が表記されていないのは何故かな?

 そういえばアリア様が運がどうのこうの言ってたので、なにかしてあるのかも。


 魅力値も他より高いけど、基準が分からないので良いのか悪いのかの判断がつかない。

 魅力値が高いと、ゲームなんかだと商店なんかで割引があったり、女子にモテたりとメリットは大きい。


 APはアビリティポイントかな。カスタマイズできるとか言ってたから、どこかに振り分けられるのだろう。



『ナビー、HP125というのはどの程度なの? 母さんと比べてどのくらいの差がある?』

『♪ 人のステータス情報を教えることは禁止事項となっています』


『そりゃそうか……なんでも無制限に教えてくれるなら、皆10%払ってでもチュートリアルを取るよね』

『♪ あ、失礼しました。マスターには特にそういった制限がないようです。ですが、マスターは【詳細鑑定】という個人スキルをお持ちなので、相手のステータスは自分で見ることができます。まだスキルの熟練レベルが低いので、基本ステータスしか見れないようですけどね』


『えっ!? ナビーが教えちゃって良いの?』

『♪ そのようです。特に制限もないみたいですね……やりたい放題かもしれません』


『やりたい放題はないでしょ? このステータスじゃ、普通の魚1匹に出会ったらパックンチョで終わりだよ』

『♪ ナビーはこの世界を管理するユグドラシルと繋がっているのですよ? ユグドラシルは全ての生あるものと繋がっています。敵になりそうな者の情報をリアルタイムで把握できます。弱そうなものは倒して捕食、強そうならさっさと逃げれば良いのです。戦わなければ負けることもありません。不意打ちや、待ち伏せなど、ナビーがいる限りマスターは一切無縁なのです』


『ナビーを無制限で使えるってそうなっちゃうの?』

『♪ なっちゃいます。更に言うと、スキルの習得方法とかも遠慮なく教えちゃいます』


 なんかマジチートっぽくなってきた! そうだ、スキルだよ!

 え~と、どれどれ?


 【クリーン】は多分浄化魔法だろ。

 【亜空間倉庫】? アイテムボックスのようなものかな?


『♪ マスターの知識にある、かばん・アイテムボックス・マジックポーチのようなものですね。これは転生者なら誰もが与えられているものです。レベル1で10枠までの収納が可能です。1枠の重量制限が10kgとなっていますので最大100kgまでの収納が可能です。入れる枠は10枠ありますが30kgの物を入れると3枠使ってしまうのでそのつもりでお使いください。ですが、マスターにはユニークスキルに【インベントリ】がありますので、全く関係ないですね……【インベントリ】容量無制限でおまけに時間停止機能が付いていますので、物が腐ったりすることもなく超便利です』


『おお! それは良い! どのラノベでも一番欲しいやつだよ! あっ! 鑑定魔法や探索魔法もあるじゃん! スゲー! これってアリア様が俺が運がないからって最後にいろいろくれたやつだろ?』


『♪ そのようですね。ですが、アリア様は何をお考えなのでしょう? 【隠密】【忍足】【身体強化】【腕力強化】【暗視】は流石にサービスし過ぎかと思います』


『確かに。この所持スキル、全体的に暗殺特化だよね……対人を想定したスキルばかりだ』

『♪ はい。どれも伸ばせばとてつもないポテンシャルを秘めています。APを振ることによって、スキルの熟練度をあげることが可能のようです。これは他の人にはないものですね。習熟してないのに、APを振るだけでユグドラシルからレベルに合った熟練度を体にラーニングしてアップデートができるようです』


『うわ~、何でもありだね? 良いんだろうか?』

『♪ アリア様がお授けになったのですから良いのでしょう』


『ん? この一番最後のなんだ? ふざけたネーミングが付いてるんですけど……?』

『♪……………………』


『お~い……ナビーちゃん? これなんなの?』

『♪ マスターのオリジナルスキルですね。史上初のスキルです』


『いや、そういう史上初とかどうでもいい情報じゃなくて、これは何なのかが知りたいんだけど?』

『♪ パッシブ系のもののようです。直接攻撃や防御系のものとも違いますね。2の倍数の種族レベル時にはステータスの数値が倍になるようです』


『へ? ステータス数値が倍?』

『♪ 倍です。ですが2の倍数レベル時だけです。今はレベル1なのでその恩恵を得ていません』


 上手く利用すればかなりいいパッシブ効果だな。今はレベルが低いので倍になっても高が知れてるけど、高レベルになれば成るほどこれは驚異的なものになるだろう。


 『ちゅうちゅうたこかいな』子供が遊ぶ数え歌の一種だったよな。2個ずつおはじきを取って遊ぶやつだ。

 でもなんだよこのふざけたネーミング。恥ずかしすぎて誰にも言えないぞ。


 母さんに個人スキルあったって聞かれても、ないって言おうかな……せっかくのユニークスキルなのに、スキル名のせいで言えないじゃないか!

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